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小田急の車体色について

29年度・本クケ

 

1.     はじめに

小田急の色と言えば?もちろん、ブランドマーク、駅名標、通勤車両の帯色に至るまで用いられている「青色」だろう。小田急電鉄も公式に「ブランドマークメインカラーのブルーは、小田急線を中心に長年親しまれてきた色であり『小田急らしさの誇り』として使用していきます。」と言っている。

とはいえロマンスカーに用いられる『橙』を忘れてはいけない。たしかに10000HiSEから、RSE,EXE,VSE,MSE,EXEαまでの基調とする色は赤、水色、茶色、白、青、銀色と、橙を大きく用いた車両はなく、LSEだってHiSEに合わせて塗装を変更したぐらいだが、LSEの塗装再変更、VSE,MSE,EXEαの帯色にちゃんと橙は息づいているし、まして来年登場する新型ロマンスカーはほぼ橙一色。ロマンスカーのロゴもちゃんと橙が用いられている。小田急のブランドイメージと強く結びついた青と橙、そして色とりどりのロマンスカーを時系列に従って見ていこうと思う。また、本稿では、平常時の塗装のみを扱い、特別塗装には触れない。

 

(左)図1.小田急電鉄ブランドマーク(小田急電鉄公式ホームページ http://www.odakyu.jp/release/brandmark/より引用

(右)図2.小田急ロマンスカーブランドマーク(小田急ロマンスカーFacebookページhttps://www.facebook.com/romancecar より引用

 

 

2.     通勤車

通勤車、つまりロマンスカーでない、毎日詰め込まれる味気ない車両についてまず見ていこう。大東急解体後まもなくはその区別が曖昧であったりもするのだが、小田急に「白地に青の電車」が現れるところからスタートしようと思うので、5000形の登場する1969年の少し前から始めよう。

「白地に青の電車」が登場する前、小田急の塗装はベースに暗い紺色を、窓周りに暗い黄色を用いた実に暗いものであった。1969年に登場した5000形からケープアイボリーをベースに、窓下にロイヤルブルーの帯を巻く新塗装が採用され、既存車両の電装品を流用する4000形も途中からこの塗装で製造され、既存の2200形から2600形なども、塗装が変更されることとなった。1969年、であるから、ほとんどの人にとってこの「ケープアイボリーにロイヤルブルー」が小田急の通勤車両のイメージとなるだろう。この塗装は地下鉄直通車9000形、そして前面デザインを変更した8000形までの鋼製車に用いられた。塗装を新たにした1969年からステンレス製の1000形が登場する1988年までは前面デザインの違いなどこそあれ、小田急の通勤車は「ケープアイボリーにロイヤルブルー」であった。

 

(左)小田急5000形(代々木上原駅 2012/3/16

(右)小田急8000形(新宿駅 2013/9/23

1988年、地下鉄直通車の9000形の後継として1000形が登場した。小田急として初めて導入したステンレス製車だが、帯色に関しては依然と同様にロイヤルブルーのままである。座席モケットの色はこの形式から青から赤に変更されている。1995年には2000形が登場したが、これも変更は無く、2001年の3000形でも変化なし。ステンレスないしアイボリーにロイヤルブルーの帯。小田急のイメージはまったく確立されたと言ってよかった。

  

(左上)小田急1000形 (本鵠沼駅 2014/6/15

(右上)小田急2000形 (代々木上原駅 2013/3/24

(左下)小田急3000形 (藤沢駅 2014/8/2

(右下)小田急3000形(藤沢本町駅 2017/9/14

しかし2007年に地下鉄直通車4000形が登場。4000形からは帯色をロイヤルブルーよりも濃いインペリアルブルーに変更し、これが既存各車にも波及していくこととなった。

 

(左)小田急4000形 (善行駅 2014/6/15

(右)小田急1000形更新車 (代々木上原駅 2017/6/5

更新途上であった8000形は最後まで一貫してロイヤルブルーの帯となったものの、2000形と3000形は帯の変更を始めた。しかしこれが一向に進んでいない。4000形が登場してから10年が経っても帯色変更車は数えるばかりで、2000形は行先表示器がフルカラーLEDに変わった2051F2053Fのみ、3000形は6両編成の主に早い番号が帯色の変更を受けているが、虫食い状であるし、車内のLCDを二枚にする工事とは連動していない。8両、10両編成はすべて従来のロイヤルブルーである。6両については次のページに表を載せた。1000形については更新に合わせて帯色が変更されるようになり、現在は1051F1057F1063F1066F1095Fが施行済みである。また。2009年からは箱根登山線内で運用される1000形は箱根登山鉄道のイメージカラーたる赤色に塗装されている。

 

3.     ロマンスカー

ロマンスカーについては、NSE以前の塗装と変わらず、現在も残る7000LSEから見ていくことにしよう。1980年に登場したLSENSE同様に展望席を持ち、塗装も全く同一のバーミリオンオレンジにシルバーグレーと白線をあしらったデザインである。ロマンスカーといえば、いまだにこの塗装を思い出される方も多いに違いない。1987年に登場したHiSEではパールホワイトをベースに窓周りと裾にロイヤルワインレッド(くすんだ赤)、帯部にオーキッドワインレッド(暗い赤)を配し、LSEもこれに準じた塗装に変更された。1991年にはRSEが登場。白地に水色とピンクをあしらい、ロマンスカーの伝統なんて微塵も感じさせない塗装となった。1996年にはEXEもデビュー。ハーモニックパールブロンズにワンポイントでアッパーレッドをあしらっている。

 

(左)小田急7000LSE現行塗装(新宿駅 2017/6/18

(右)小田急7000LSE旧塗装(本厚木駅 2011/12/26

  

(左上)小田急10000HiSE (新宿駅 2012/3/16

(右上)小田急10000HiSE (海老名検車区 2012/3/24

(左下)小田急20000RSE (海老名検車区 2012/3/24

(右下)小田急20000RSE (海老名検車区 2012/3/24 

(左)小田急30000EXE (善行駅 2014/6/15

(右)箱根登山鉄道モハ1形 (箱根湯本駅 2017/6/18

初期のロマンスカーのカラーリングは箱根登山鉄道と同一だ。

図1.小田急30006両編成の帯色。

青色がインペリアルブルー、水色がロイヤルブルー、白色は不明

2007年にはロマンスカー50周年を飾るにふさわしい新たなフラッグシップ、50000VSEが登場する。白を基調にしながら伝統のバーミリオンオレンジの帯を巻き、座席も鮮やかなオレンジ。60000形はフェルメールブルーを基調にバーミリオンオレンジとホワイトの帯が入る。70000形はプレスリリースを見る限り橙一色。EXEαについてもシルバーと黒の間にバーミリオンオレンジとホワイトの帯が入ることとなった。

 

 

 

(左上)小田急50000VSE (町田駅 2017/5/7

(右上)小田急60000MSE (藤沢駅 2014/8/2

(左下)小田急30000EXEα (新宿駅 2017/6/18

(右下)小田急30000EXEα (新宿駅 2017/6/18

参考文献

『トラベルMOOK 小田急電鉄の世界』(交通新聞社)

『私鉄特急年鑑』(イカロス出版株式会社)

「小田急電鉄公式ホームページ 『グループブランドマーク』の想い」http://www.odakyu.jp/release/brandmark/2017105日閲覧)

「小田急電鉄公式ホームページ プレスリリース『新型特急ロマンスカー「70000形」の製造を決定』」

http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/8500_1656600_.pdf

2017106日閲覧)

 


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