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研修旅行 旅行記

平成28年入学 中シン

 

1.   はじめに

東京大学鉄道研究会では、毎年夏休み中に1週間程度の旅行(研修旅行)を行い、車庫見学や貸し切り運転など実施している。今年度の訪問地域は「東海・北陸」であった。7日間にわたり、鉄道会社4社を訪問した。車庫見学・貸し切り運転の様子や移動日の個人的な旅程を含め、ここに私の旅行記を記す。

 

2.   823()

東京駅23番線。ここから、私の研修旅行は始まった。812分発の「かがやき521号」の到着を待つ。昨日まで夏とは思えないほどの涼しさだったが、今日はホームにいると汗が出てくるほど暑い。折り返しとなる「あさま602号」がホームに滑りこんできた。JR東日本所有のE編成だ。実は、北陸新幹線金沢延伸開通直後に東京-金沢間を往復しているのだが、行き帰りともにE編成であった。そのうちJR西日本所有のW編成にも乗ってみたいものだと思いながら、車内清掃を終えた1号車へと乗り込む。1号車は普通車全10両のうち座席数が最小かつ、駅の階段から総じて遠いため空いているのではないかと思い、この車両を予約しておいたのだ。実際、大宮駅出発の時点で窓際のA・E席がすべて埋まる程度であった。24分後に「かがやき505号」が続行することを考えると、そこそこの乗車率ではないかと思う。高崎駅で先行する「Maxたにがわ403号」を追い越し、ぐんぐんと山に迫ってゆく。トンネルが多い区間に入って行き、携帯の電波状況が安定しない。実は、この日大雨の影響でこれから乗車予定の七尾線が朝から運転見合わせとなっていたため、インターネットで運行情報を注視しなければいけなかったのだ。乗り継ぎ予定の特急列車の運休が決まるか否か、気になるところだ。しかし、電波状況が悪く、JR西日本の案内センターに電話することもままならない。長野駅手前でやっと電波状況が安定し、運休が決まっているわけではないとの返答をもらうことができて、安心した。そうこうするうちに、糸魚川駅を通過し、日本海を望むことができるようになったと思うと、車窓を白い車両が通過した。East i とすれ違ったようだ。一瞬の出来事だった。そして、1047分、金沢駅に到着した。

 

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(左)E7系「かがやき521号」(東京駅 2017.08.23

(右)E71号車の車内(「かがやき521号」車内 2017.08.23

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(左)E7系のロゴマーク(東京駅 2017.08.23

(右)金沢駅で並ぶ北陸新幹線(金沢駅 2017.08.23

ここでしばし休憩して、昼食を購入する。金沢駅では、2年前と違い、在来線の改札口が機械化されていた。昼食として牛すき焼き弁当を購入し、特急「能登かがり火3号」和倉温泉行きに乗車する。リニューアル編成であった。自由席に乗車したが、窓際が半分程度埋まるほどの乗車率で出発する。田園風景の先には、雨雲が広がっていた。車内には、車両のリニューアルを知らせる広告が掲示されていた。1215分に七尾駅に到着した。

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(左)特急「能登かがり火3号」(七尾駅 2017.08.23

(右)車内の様子(能登かがり火3号車内 2017.08.23

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(左)車両のリニューアルを知らせる広告(能登かがり火3号車内 2017.08.23

(右)方向幕(金沢駅 2017.08.23

ここで東京大学鉄道研究会(以下TRC)の会員と合流する。しばらくすると、和倉温泉方から、NT204編成が入線した。「花咲くいろは」ラッピング車両である。先頭にはTRC会員がデザインした専用のヘッドマークもついており、TRC貸し切りの団体列車だ。基本的には水曜運休の「のと里山里海53号」のダイヤに従って、穴水まで向かう。途中、能登中島駅では15分ほど停車し、駅に留置された郵便車オユ10形式を見学することができた。車内は郵袋(郵便物を納めた袋)を置くスペースと、郵便物を区分けするスペースに分かれていて、当時の様子を彷彿とさせる。この車両はかつて東京-北海道間の郵便輸送で活躍していたのだという。列車は途中3か所のビュースポットで停車しながら、終点穴水駅に到着した。

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(左)貸切運転したNT204編成 TRC専用のヘッドマーク付き(穴水駅 2017.08.23

(右)郵便車オユ10(能登中島駅 2017.08.23

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(左)郵便車オユ10(能登中島駅 2017.08.23

(右)ビューポイント「深浦漁港」(貸切列車車内 2017.08.23

穴水駅にはのと鉄道の車庫があり、そこを見学させていただく。車庫の中には、重要部検査を終えたばかりのNT200形が留置されていた。のと鉄道の車庫では簡単な検査のみ行い、モーターや車輪、空調装置は取り外して、金沢市や白山市の工場にトラックで移送したのち、検査を委託しているとのことであった。また、検査時に使用する仮台車やモーター取り出し装置も見せていただいた。その後、「のと里山里海号」を外から見学し、いったん解散となった。なお、穴水駅には「のと恋路号」が留置されていて、車内や運転席を見学できるようになっている。

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(左)重要部検査を終えたばかりのNT200(車庫 2017.08.23

(右)モーター取り出し装置(車庫 2017.08.23

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(左)仮台車(車庫 2017.08.23

(右)のと里山里海号(車庫 2017.08.23

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(左)のと恋路号(穴水駅 2017.08.23

(右)「のと恋路号」運転席(穴水駅 2017.08.23

見学解散後は、富山県に実家があるTRC会員とドライブに出かけた。まずは、穴水駅から30分ほどの増穂浦にある「世界一長いベンチ」を訪問した。世界一だけあって、見渡す限りベンチが続いている。日本海からの潮風を全身に受けながら、水平線まで広がる日本海を堪能することができる。その後、花のミュージアム「フローリィ」へと移動した。中には多くの草花が植えられた西洋風の庭園や噴水が広がり、まるで楽園にでもいるように感じられた。日常生活では見ることのできない花を多く見ることができる一方で、ミュージアムのすぐ隣は志賀原発が位置しており、柵が張り巡らされ多くのカメラが設置されるなど、物々しい雰囲気の一端も感じることができた。その後、石川県を離れ、富山県内の高岡高校を訪れた。ドライブの企画者の卒業高校だ。敷地内には東大の銀杏並木と同じような光景が広がり、開放的な高校である。

そして、夕食を取ったのち、富山市天文台へと向かった。中心部から離れ、暗い道を進むこと30分。職員の方に、大きな望遠鏡を使って様々な星を見せていただいた。あいにく曇天であったが、雲の隙間からいくつかの星を見ることができた。なんと、土星の輪も観察することができた。ちょうど輪を見やすい時期であったそうだ。

そして、TRC全体で泊まる富山市内の宿へと向かい、ドライブは終了となった。C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_6622.jpg C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_6640.jpg

(左)世界一長いベンチ(増穂浦 2017.08.23

(右)花のミュージアム「フローリィ」入口(フローリィ 2017.08.23

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(左)花のミュージアム「フローリィ」館内(フローリィ 2017.08.23

(右)志賀原子力発電所との境界に設けられた柵やカメラ(フローリィ 2017.08.23

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(左)富山県立高岡高校構内(高岡高校 2017.08.23

(右)富山市展望台の大きな望遠鏡(富山市展望台 2017.08.23

 

3.   824()

その日も時折雨の降る、曇天であった。予定では立山砂防工事専用軌道のトロッコに乗車する予定であったが、降水確率が高かったため中止となってしまい、観光バスを使用した雨天コースとなった。まずは、魚津埋没林博物館へと向かう。魚津の海岸にかつてそびえ立っていたスギ原生林が、河川氾濫と海面上昇により埋没したのが、魚津埋没林である。出土した場所でそのまま水中展示されている。乾燥状態で展示された埋没林もあり、その大きさに圧倒された。また、ここでは気温が上がり風の穏やかな春の日に、蜃気楼が見られるという。

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(左)埋没林の水中保存(魚津埋没林博物館 2017.08.24

(右)埋没林の乾燥保存(魚津埋没林博物館 2017.08.24

次に向かったのは、魚津駅。ここで昼食休憩を取った。駅周辺に多くの寿司屋があり、今回は小政寿司のお寿司をいただくことにした。出てきたのはまぐろなど9貫。どれも新鮮で、非常においしかった。確か700円台であったと記憶しているが、とてもお得である。

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(左)魚津駅外観(魚津駅前 2017.08.24

(右)昼食の寿司(小政寿司 2017.08.24

再びバスに乗り、今度は滑川市にある、ほたるいかミュージアムへと向かう。ほたるいかのシーズンではなかったため、発光性プランクトン「龍宮ホタル」の発光ショーが行われており、見学することができた。ほたるいかと同じく、刺激を与えると青白い光を出していた。他にも様々な展示があり、ほたるいかについて見識を深めることができた。また、館内にはえびやカニなどと触れ合えるコーナーもあった。見学を終え、外に出たところにカフェがあったので、「つべつべ塩ソフト」を購入した。「つべつべ」とは、富山弁で「つるつる」や「すべすべ」など、主に滑らかな顔やお肌に対して使う言葉なのだという。少し塩味のきいた、おいしいソフトクリームであった。その後、バスは富岩運河環水公園に到着し、解散となった。

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(左)ほたるいかミュージアム入口(ほたるいかミュージアム 2017.08.24

(右)つべつべ塩ソフト(みちcafe wave 2017.08.24

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(左)富岩運河環水公園(富岩運河環水公園 2017.08.24

(右)富岩運河環水公園景色(富岩運河環水公園 2017.08.24

しばし、富岩運河環水公園を散策したのち電鉄富山駅まで歩き、富山地方鉄道に乗車することにした。電鉄富山駅から、普通岩峅寺行(寺田経由)に乗車した。車両は元京阪電鉄特急用のモハ10030形で、車内にはクロスシートが広がっていた。車端部に乗っていたためか、ポイント通過時を中心に揺れが大きかった。岩峅寺駅到着後、今度は不二越・上滝線の普通電鉄富山行(南富山経由)に乗車した。車両はモハ14760形であった。この形式は製造時から富山地方鉄道で運用されている。南富山駅まで乗車し、市内電車に乗り換える。乗車したのは、T100形(SANTRAM)の富山駅行である。車内は非常にきれいで、連結部を含め、段差がない。富山駅で、環状線に乗り換える。やってきたのは、デ9000形(CENTRAM)だ。先ほどのT100形に似ているが、T100形は3車体に対し、デ9000形は2車体である。運転席を見ていると、ワンハンドルマスコンが非常に小さいと感じた。

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(右)モハ10030形(岩峅寺駅 2017.08.24

(左)モハ10030形車内(車内 2017.08.24

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(左)モハ14760形(岩峅寺駅 2017.08.24

(右)T100形 SANTRAM(南富山駅前 2017.08.24

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(右)T100形 運転席(T100形車内 2017.08.24

(左)富山地方鉄道市内線 富山駅(富山駅 2017.08.24

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(左)デ9000形 CENTRAM (富山駅 2017.08.24

(右)デ9000形 運転席(中央部に小さめのワンハンドルマスコンが設置されている)

(デ9000形車内 2017.08.24

グランドプラザ前で下車し、夕食を取った。富山ブラックだ。名前の通り、スープが真っ黒である。他のラーメンと比べて塩分濃度が高く、塩辛い味付けとなっていて、おいしくいただいた。夕食後は、昨日と同じホテルに向かい、2日目は終了した。

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富山ブラック(西町大喜 西町本店 2017.08.24

 

4.   825()

朝のニュースは北陸の大雨を伝え、富山も雨脚が強まっていた。ホテルをチェックアウト後、中町から南富山駅前行のデ8000形に乗車する。ほどなく南富山駅前に到着し、TRC会員と合流する。南富山の車庫では、これからTRCが貸し切り乗車するレトロ電車が出庫準備を行っていた。このレトロ電車はデ7000形をリニューアルした車両で、車両デザインは水戸岡鋭治さんが担当している。車内はテーブルや座席、つり輪などに木を多用して温かみを感じさせ、外装はグリーンとベージュで塗装されている。また、今回の貸し切り運転では北日本新聞社の記者による取材を受けた。新聞取材は初めてだったもので、感想などを聞かれ緊張しながら答えた。(なお、次の日の朝刊に写真入りの記事が掲載されている。)今回の貸し切り列車の運転経路は南富山駅前から富山駅経由で大学前まで向かい、折り返し後、富山駅で解散というものだ。途中の停留所は全ていったん停車する。途中西町でしばらく停車して環状線の列車を先に通すなど、定期列車の間をぬうように、大学前まで向かう。大学前では停留所の奥の方に停車し、定期列車と縦列停車していた。しばらく休憩を取り、折り返し出発する際に、運転士が停留所に設置された箱の中のボタンを押した。通常は縦列停車は行われないため、縦列停車時にはこのボタンを押すことで、保安装置が誤作動しないようにするとのことだ。他にも、信号機は路面電車優先とはなっていないことや、今後富山ライトレールと直通運転を開始しても旧型車両は富山ライトレールに乗り入れないことなどについて、運転士に説明していただいた。電車は富山駅に到着し、解散となった。

 

(左)レトロ電車(南富山駅前 2017.08.25

(右)レトロ電車 車内 (車内 2017.08.25

 

(左)レトロ電車 車内(車内 2017.08.25

(右)レトロ電車 運転席(車内 2017.08.25

 

(左)大学前での縦列停車(大学前 2017.08.25

(右)大学前に設置されている保安装置用のボタン(大学前 2017.08.25

ここからは27()夜の宿泊まで自由行動となり、会員が思い思いの行程をとる。私は同期の会員とともに、日本海側を西へ向かうことにした。この日は大雨の影響であいの風とやま鉄道にも影響が出ており、当初乗車予定の普通金沢行は運休が発表されていた。そこで急遽予定を変更し、1126分発の普通高岡行に乗車し、とりあえず高岡まで向かうことにした。座席がすべて埋まる程度の混雑であった。高岡駅で昼食を取ろうとしたが、到着直前に車内から見たところ、よさそうな食事処が見当たらなかったため、城端線で新高岡駅まで向かうことに変更した。新高岡で下車し、すぐに食べられそうな食事処を探すが、遠くにイオンモールが見えるのみで特に見当たらなかったため、スーパーでおにぎりを買ってすませることにした。新幹線停車駅とは言っても、周辺の開発はまだまだ進んでいないように感じられる。駅の待合室でおにぎりを食べながら待ち、やってきた城端線で高岡へ向かう。車両はキハ47系と昔ながらの気動車である。高岡駅で普通金沢行に乗り換える。県境を超え、_利伽羅駅で、あいの風とやま鉄道からIRいしかわ鉄道に変わるが、運転士は交代することなく金沢駅まで乗務していた。終点金沢駅でホーム向かいに停車していた1330分発の普通福井行に乗り換える。しばらく前面展望を楽しんでいると、除雪車とすれ違った。夏の暑い時期に走行する除雪車を見ることができるとは思ってもいなかった。途中、小松駅でしらさぎ10号、粟津駅でサンダーバード26号に道を譲り、ゆっくりと進む。終点福井駅には15時ちょうどに到着し、1511分発の普通長浜行に乗り換える。金沢-敦賀間乗車中に多く目にしたのは、北陸新幹線の建設現場だ。2023年の敦賀延伸に向けて、少しずつ建設が進んでいることを目の当たりにした。南今庄-敦賀間にある北陸トンネルを抜けて、1601分に敦賀駅に到着した。敦賀駅を散策していると、駅ベンチに恐竜が置かれていた。

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(左)あいの風とやま鉄道 521系(高岡駅 2017.08.25

(右)キハ40系(新高岡駅 2017.08.25

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(左)北陸本線 521系(小松駅 2017.08.25

(右)敦賀駅に設置された恐竜像(敦賀駅 2017.08.25

ここで小浜線に乗り換え、1645分発の普通東舞鶴行に乗車する。2両編成での運転だったが、座席の6割程度が埋まる状況で敦賀駅を出発する。美浜駅で最初の交換を行ったが、対向列車は521系であった。通常小浜線は全ての列車が125系で運転されるため、125系の検査等による代走と思われる。小浜駅を過ぎ、海の近くを走行する。リアス式海岸ゆえ、陸の間に広がる海がきれいだった。だんだんと日が傾く中、1846分に終点東舞鶴駅に到着した。となりのホームに停車する1851分発の普通リレー号綾部行に乗り換える。223系の2両編成だ。西舞鶴駅で乗降があるほかは、途中駅での乗降は少なかった。30分ほどで終点綾部駅に到着し、1924分発の普通福知山行きに乗り換える。こちらも2232両編成。指導運転士が乗務し、運転士の指導を行っていた。12分で終点福知山駅に到着。ここで、1938分発の快速城崎温泉行に乗り換える。快速とは言っても、通過するのは玄武洞駅の1駅のみである。座席が3割程度埋まるほどの状況で出発する。日は完全に沈み、車窓には時折車のライトが見えるのみで、ほとんど真っ暗である。和田山駅で播但線と接続し、乗車もそこそこあった。2042分、本日の目的地である豊岡駅に到着。快速列車が出発してしまうと、駅は静寂につつまれた。しばし駅構内を散策したのち、駅近くのビジネスホテルに向かった。

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(左)小浜線 125系(敦賀駅 2017.08.25

(右)小浜線 車窓(小浜-勢浜間 2017.08.25

 

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(左)舞鶴線 223系(東舞鶴駅 2017.08.25

(右)山陰本線 223系(豊岡駅 2017.08.25

 

5.   826()

まず京都丹後鉄道の乗りつぶしから始める。使用した切符は京都丹後鉄道全区間の普通・快速列車乗り放題の「家族お出かけきっぷ」。土日祝日限定だが、インターネットで購入すると11500円となり、お得な切符である。730分発の普通西舞鶴行で豊岡駅を出発する。車両は気動車のKTR700形。乗客10名弱で豊岡駅を出発した。車内は全て転換クロスシートである。途中駅で少しずつ高校生が乗車し、座席の半分が埋まったかと思うと、ある駅でその多くが下車するを繰り返しながら列車は宮津駅に到着。ここで30分ほどの停車となる。しばらくすると西舞鶴方面から回送列車がやってきた。前からJR西日本の「天空の城竹田城跡号」、京都丹後鉄道の一般車、京都丹後鉄道のグルメ列車「くろまつ」の3両編成である。幕は「団体」となっていた。運転士にお話を伺うと、特別列車「ぐるっと北近畿号」の回送であると判明。「ぐるっと北近畿号」はJR西日本などと協力して、1か月に1回程度運行されている列車である。「天空の城竹田城跡号」と「くろまつ」は連結器の関係上、直接連結できないため、両車両の連結器に対応できる一般車を中央に挟むことで対応しているとのこと。乗客は「くろまつ」で食事をとったのち、「天空の城竹田城跡号」に移動して景色を楽しむという。さて、列車は宮津駅を出発し、車窓には海が広がっている。西舞鶴駅到着直前には、車庫に停車する「タンゴエクスプローラー」(KTR001形)を見ることができた。949分、西舞鶴駅に到着した。

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(左)KTR700形(豊岡駅 2017.08.26

(右)天空の城竹田城跡号(宮津駅 2017.08.26

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(左)くろまつ号(宮津駅 2017.08.26

(右)「ありがとう タンゴ・ディスカバリー」の看板(西舞鶴駅 2017.08.26

折り返し、1009分発の「丹後あかまつ1号」天橋立行に乗車する。京都丹後鉄道では、KTR700形を改装し、レンストラン列車の「丹後くろまつ号」、観光列車の「丹後あかまつ号」「丹後あおまつ号」が導入されている。今回は定員予約制(自由席)の「丹後あかまつ号」に乗車する。「松」をテーマとしたデザインは水戸岡鋭治さんが担当している。車内はソファー席やカウンター席が配置され、木を多用した温かみのあるデザインは昨日の富山地方鉄道レトロ電車(水戸岡鋭治さんデザイン)と類似点が多い。車内は西舞鶴駅で定員の8割程度が埋まるほど、好評である。ワンドリンクサービスなので、オレンジジュースを頼んだ。途中由良川橋梁では徐行運転、奈具海岸では一旦停止し、景色をゆっくりと楽しむことができるようになっている。車内ではオリジナルグッズも販売しており、丹後あかまつ号のコースターを購入した。1時間弱で終点天橋立駅に到着。乗り継ぎまで時間があったので、天橋立を散策することができた。天橋立駅からは1146分発の特急「たんごリレー4号」福知山行に乗車する。車両はKTR8000形「丹後の海」の2両編成である。かつては「タンゴ・ディスカバリー」と呼ばれていたが、2017516日までに全編成が内装・外装共にリニューアルされ、呼称も変更となった。この車両もデザインは水戸岡鋭治さんが担当し、「海の京都」をイメージした車両となっている。運転席後方にソファー席のフリースペースも設けられている。自由席に乗車したが、乗客は10名程度と空いていた。終点福知山駅には1230分に到着した。

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(左)あかまつ号(西舞鶴駅 2017.08.26

(右)あかまつ号車内(車内 2017.08.26

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(左)由良川橋梁からの車窓(丹後神崎-丹後由良間 2017.08.26

(右)「あかまつ号」と「あおまつ号」(天橋立駅 2017.08.26

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(左)丹後の海 (福知山駅 2017.08.26

(右)丹後の海 ロゴマーク (宮津駅 2017.08.26

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(左)丹後の海 車内(車内 2017.08.26

(右)丹後の海 フリースペース(車内 2017.08.26

ここからは、JR線で一気に南下する。1307分発の普通篠山口行に乗車。223系の2両編成だ。内陸部を進み、1410分に終点篠山口に到着し、1416分発の丹波路快速大阪行に乗車する。223系の8両編成である。篠山口駅発車時点では空いていたものの、三田、宝塚で乗車が多く、座席の8割が埋まる程度まで混雑した。終点大阪駅には1522分に到着した。ここで大阪環状線に乗り換える。1538分発の関空・紀州路快速関西空港・和歌山行に乗車する。前4両が関空快速、後ろ4両が紀州路快速だ。どちらも225系である。日根野駅で切り離しを行い、4両編成となって紀州路快速は1709分に終点和歌山駅に到着した。紀勢本線(きのくに線)に乗り換えてさらに南下する。1723分発の普通御坊行に乗車する。225系の4両編成だ。車内は立ち客が出るほど混雑している。終点御坊駅には、1826分に到着した。ここで、紀州鉄道に乗り換え、1833分発の西御坊行に乗車する。ワンマン1両編成で、乗客は5名ほどで出発する。時速30キロメートル程度とゆっくりした速度で走行する。御坊駅からわずか8分、1841分には終点西御坊駅に到着した。実は紀州鉄道は、全長2.7キロの日本一短いローカル私鉄なのだ。到着後、駅から15分ほど歩き、太平洋を見ることにする。今日1日で日本海側から太平洋側に移動したことを実感しながら、しばらく海の景色を楽しんだ。星がきれいである。そして折り返し1920分発の御坊行に乗車した。途中の紀伊御坊駅では、駅員が手を挙げて乗客がいないことを運転士に知らせたため、一旦停止後ドアを開けることなく出発した。なんともローカル線らしくて良いな、と思う。終点御坊駅には1930分に到着し、その日は御坊駅前のビジネスホテルに宿泊した。

C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_7049.jpg C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_7065.jpg

(左)福知山線 223系(福知山駅 2017.08.26

(右)福知山線 223系(大阪駅 2017.08.26

C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_7079.jpg C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_7096.jpg

(左)紀勢本線(きのくに線) 225系(和歌山駅 2017.08.26

(右)紀州鉄道 (西御坊駅 2017.08.26

C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_7100.jpg C:Users先中 亮AppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_7107.jpg

(左)日本一短いローカル私鉄であることを知らせる看板(西御坊駅 2017.08.26

(右)西御坊駅近くの海岸からの景色(西御坊駅近く 2017.08.26

 

6.   827()

朝からさらに南下を続ける。御坊駅から706分発の普通紀伊田辺行に乗車する。御坊駅上り列車の初電で、日根野始発の電車だ。車両は1132両編成で、初電だけあって、座席がすべて埋まる程度に混んでいる。海を眺めていると、749分に終点紀伊田辺に到着した。向かい側に停車する751分発の普通新宮行に乗り換える。車両は1052両編成である。車窓にはひたすら海が広がる。車内は小学生でいっぱいで、とても賑やかで、林間学校にでも行くようだ。途中、三輪崎駅で特急「くろしお18号」と交換する。なんとやってきたのは、287系パンダくろしお「Smileアドベンチャートレイン」だ。先頭部分にパンダフェイスをイメージしたラッピングが施されており、インパクトがある。白浜駅近くに位置するテーマパーク「アドベンチャーワールド」とJR西日本がコラボして、20178月から運行されている編成だ。車体側面や車内扉には動物たちが描かれ、座席ヘッドカバーはパンダフェイスを模したものになっている。間近で見ることができ、非常にうれしかった。ちなみに、乗車している普通列車105系のドアに貼られた津波避難案内にも、パンダが使用されている。三輪崎駅を出発しすぐに終点新宮駅に1040分に到着した。ここからは、JR東海区間に入り、1052分発の普通多気行に乗車する。車両はキハ252両編成である。終点多気までおよそ3時間30分の旅である。特急に抜かれることもなく、各駅に停車しながら、ひたすら北上する。途中駅での乗降客は少なく、なんとものんびりした旅だ。紀伊長島駅までは海沿いを走るが、そこから先は山の中を走る。とにかく長かった。終点多気駅には1410分に到着した。一度改札を出て、駅周辺を散策する。日曜日の昼下がりだけあって、鳥の鳴き声がするのみで街は静かである。脇道にそれると、一面田畑が広がっていた。どこか懐かしい雰囲気だ。田畑の向こう側から特急「ワイドビュー南紀6号」がやってくる。我々の後を追ってきた列車だ。しばし休憩したのち、1459分発の快速「みえ11号」に乗車する。キハ752両編成で、1号車の一部が指定席となっている。快速だけあって、速度をあげて鳥羽まで向かう。終点鳥羽駅には1526分に到着した。

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(左)紀勢本線 113系(御坊駅 2017.08.27

(右)紀勢本線 105系(周参見駅 2017.08.27

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(左287系パンダくろしお「Smileアドベンチャートレイン」(三輪崎駅 2017.08.27

(右)105系車内の津波避難案内(車内 2017.08.27

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(左)紀勢本線 キハ25系(多気駅 2017.08.27

(右)快速みえ (鳥羽駅 2017.08.27

ここで近鉄に乗り換え、1611分発の観光特急「しまかぜ」近鉄名古屋行に乗車する。話題のしまかぜに初乗車だ。指定された座席は6号車であった。発車直後にカフェ車両に向かう。10分ほど並んだあと、2階のカウンター席に案内された。メニューを見て考えた末、スイーツセットをいただくことにする。スイーツ(数種類のケーキから選択)・焼き菓子・ドリンク(有機栽培コーヒー・アイスコーヒー・リプトン紅茶・アイスティーから選択)のセットで、私はマスカットのケーキ、アイスティーを選択した。2階から景色を見ながらのスイーツは格別である。食後は、他のTRC会員が展望席の最前列に乗車しているので、その様子を見に行くことにした。最前列の1人掛けシートに少し座らせてもらったが、大きな窓からの前面展望は運転士になった気分を味わうことができ、とても楽しかった。たまたま途中で20000系団体専用列車「楽」とすれ違った。しばし前面展望を楽しんだあと、6号車の自席に戻る。ふかふかの座席で、エアクッション機能(腰部にエアクッションが付いている)もあり、とても快適な座席である。近鉄名古屋駅に1744分に到着したが、もうあと1時間は乗車していたいほど、快適で楽しい車両であった。再びJR線を利用し、今度は東へ向かう。1800分発の特別快速豊橋行に乗車する。車内は混雑しており、前面展望を楽しむことにした。豊橋駅には1852分に到着し、1910分発の普通浜松行に乗り換える。こちらも大混雑であったが、なんとか座席を確保することができた。遅れていた名古屋方面からの新快速を待って、5分ほど遅れて出発した。時折車窓を新幹線が追い越していく。浜松駅には1945分に到着し、1954分発の普通静岡行に乗り換える。本日の目的地、掛川駅には2020分に到着した。新幹線停車駅ではあるが、駅から少し離れると静かな住宅街が広がっている。この日はTRC全体で泊まる旅館に宿泊した。

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(左)しまかぜ (近鉄名古屋駅 2017.08.27

(右)しまかぜ ロゴマーク(近鉄名古屋駅 2017.08.27

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(左)スイーツセット(しまかぜカフェ車両 2017.08.27

(右)しまかぜ 展望席最前列からの眺め(奥に団体専用列車「楽」が見える)(車内 2017.08.27) 

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(左)しまかぜ 座席(車内 2017.08.27

(右)東海道本線 313系(浜松駅 2017.08.27

 

7.   828()

朝一番の列車として、掛川駅824分発の普通興津行に乗車する。車内は通勤時間帯だというのに、3両編成で座席の7割程度が埋まるほどの混雑であり、東京の通勤ラッシュがどれほど異常な混雑かと思い知らされる。金谷駅には839分に到着。大井川鐵道に乗り換える。駅窓口で大井川周遊きっぷを購入した。4400円で鉄道・バスが2日間乗り降り自由となるお得な切符だ。金谷-井川間を往復するだけで元が取れる。金谷駅901分発の大井川本線普通千頭行を待っていると、元近鉄の16000系がやってきた。車内は近鉄特急そのままで、リクライニングも稼働する。乗車した車両は1966年竣工で、現在も同型の車両が近鉄南大阪線で活躍しているとのこと。列車は大井川に沿って進む。千頭駅には1014分に到着し、1019分発の南アルプスあぷとライン井川行に乗車する。ここからは、トロッコのような小型客車に乗車する。千頭駅から14分の川根両国駅で下車する。川根両国駅には車庫が併設されており、その見学をさせていただく。まずは小型客車のスロフ300を見ながら、すべて手作りであるため車両によって細部に違いがあると説明があった。車輪の半径が小さく、運輸局から特認を受けているとのこと。また車庫内には「焼きばめ炉」と呼ばれる炉が設置されており、薄くなった車輪の交換に使用されている。具体的には、薄くなった車輪を溶断し、輪芯部を残す。新しい車輪を軸心の直径に合わせて加工したのち、炉で加熱し、膨張したところに輪芯部を挿入し、冷めて一体となることで新品の車輪となるそうだ。今ではほとんど見られない作業だが、今後も継承していくとのことであった。ディーゼル機関車のDD20については、6両それぞれに「IKAWA」などの愛称が付いており、アメリカのカミンズ社が製造したエンジンを積んでいるといる。かつてJR東海の社員がカミンズ製のエンジンの使い勝手などを調査しに来たこともあり、それがJR東海のキハ85系でのカミンズ製エンジン採用につながったという。また、南アルプスあぷとラインでは、ダム建設による線路切り替えと同時に一部区間の電化が実施され、ディーゼル機関車のほかに電気機関車も運転する必要が出てきたため、運転士は両方の免許を取ることになったというお話もあった。車庫内をくまなく見せていただき、貴重な体験となった。

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(左)16000系(金谷駅 2017.08.28

(右)16000系車内(車内 2017.08.28

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(左)クハ600(千頭駅 2017.08.28

(右)焼きばめ炉(川根両国車庫 2017.08.28

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(左)DD20(川根両国車庫 2017.08.28

(右)川根両国車庫内の様子(川根両国車庫 2017.08.28

見学終了後は、上り・下りともしばらく列車がないため、千頭駅まで歩き、千頭駅に戻ると、トーマス車両が多く停車していて、子供たちに大人気であった。ここからはバスで北上することにする。千頭駅で閑蔵線バスの1220分発閑蔵駅前行に乗車する。急カーブが続く狭い道をどんどん上ってゆく。23分で湖上入口停留所に到着し、下車する。南アルプスあぷとラインの奥大井湖上駅の近くに位置する。実は、奥大井湖上駅は湖の上に浮かんでいるように見えるとして、有名な駅なのだ。ダム湖に突き出た半島上に駅は設置され、その半島の両脇には赤色の鉄橋「奥大井レインボーブリッジ」がかかっている。なお、この「奥大井レインボーブリッジ」は、東京のレインボーブリッジより先に建設されている。バス停から少し歩いたところに撮影スポットがあり、撮影を楽しむことができた。列車はエメラルドグリーンの湖上、奥大井レインボーブリッジをゆっくりと走り、まるで外国の風景を見ているようだ。撮影後は、山道を下り、奥大井レインボーブリッジを渡って、駅まで向かう。橋上で足元を見ると、湖からかなりの高さがある。しばらくすると、1334分発の井川行がやってきた。ゆっくりと山を登ってゆく。閑蔵駅からはさらに山深くなり、トンネルをいくつも超えた先に終点井川駅がある。1418分に到着した。駅員が歓迎のプレートをもって待っていた。駅はこぢんまりとしていて、駅前には小さな食事処があった。ゆったりとした時間の流れる、人里離れた静かな駅である。

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奥大井湖上駅と奥大井レインボーブリッジ(奥大井湖上駅近く 2017.08.28

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(左)奥大井レインボーブリッジを行く千頭行(奥大井湖上駅近く 2017.08.28

(右)井川駅駅名標(井川駅 2017.08.28

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(左)DD20(井川駅 2017.08.28

(右)井川駅前から見た山(井川駅 2017.08.28

駅周辺を散策したのち、井川駅1449分発の千頭行に乗って折り返す。駅員が手を振って見送ってくれた。車掌による車窓案内を聞きながら、ゆっくりと山を下りてゆく。時折、ダム建設前の旧線を見ることができた。長島ダム駅では、ディーゼル機関車の前にラック歯車を装備した電気機関車を連結した。長島ダム-アプトいちしろ間は急こう配であるため、アプト式が採用され、電化されている。途中でアプト区間が始まり、電気機関車の歯車が線路の真ん中に設置された歯形レールと組み合わさり、90パーミルという急こう配を下りてゆく。アプトいちしろ駅に到着し、電気機関車を解放した。その後は再び未電化区間となり、ディーゼル機関車がけん引する。井川駅から2時間弱、1634分に千頭駅に到着した。しばし駅構内を散策したのち、1651分発の普通金谷行に乗車する。車両は21000系の2両編成だ。元南海高野線の車両で1958年製である。行楽帰りと思われる乗客で車内は座席が8割程度埋まるほどに混んでいる。疲れがたまっていたこともあり、うとうとしていると1802分金谷駅に到着した。JRに乗り換え、1810分発の普通浜松行に掛川駅まで乗車し、掛川駅始発の1843分発普通豊橋行に乗り換えた。始発だけあって、かなり空いていた。豊橋駅には1946分に到着し、ビジネスホテルに向かった。

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(左)アプト式電気機関車 ED90(長島ダム駅 2017.08.28

(右)秘境駅の雰囲気がある尾盛駅(尾盛駅 2017.08.28

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(左)21000系(千頭駅 2017.08.28

(右)21000系車内(車内 2017.08.28

 

8.   829()

北朝鮮からミサイルが発射されたとのことで、朝からニュースはその話で持ち切りだ。その影響で、名鉄にも遅れが出ているというのだ…遅れはどんなもんだろうかと思いながら、豊橋駅へ向かう。案の定、15分程度の遅れが出ているようだ。932分発の快速特急新鵜沼行に乗車する。名鉄線初乗車だ。豊橋駅を約20分遅れで発車した。回復運転だろうか。速度をあげて、普通を追い越しながら走行する。前面展望を楽しんでいたところ、速度計を見ると時速120kmで走行している。神宮前駅を出発後には、「パノラマsuper」の中部国際空港行とすれ違った。名鉄名古屋駅には約18分の遅れをもって、1040分ごろに到着した。名古屋駅で名鉄からJR関西本線に乗り換える。1105分発の快速亀山行に乗車する。車両は313系の2両編成だ。発車5分前に乗車したところ、座席はほぼ全て埋まっていたので、前面展望を楽しむことにした。この列車は、ワンマン運転と案内されており、扉扱いも運転士が担当しているものの、車掌が切符販売や車内改札のために名古屋駅から乗車している。快速列車ではあるが、途中駅で行き違いのため2駅ほど運転停車を行った。四日市駅には1141分に到着した。ここから、近鉄四日市駅まで向かうのだが、荷物が重かったので、路線バスを使うことにした。バスに乗って10分弱で近鉄四日市駅に到着した。JRの四日市駅より、近鉄四日市駅の方が栄えている。

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(左)パノラマスーパー(豊橋駅 2017.08.29

(右)1800系(名鉄名古屋駅 2017.08.29

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関西本線 313系(四日市駅 2017.08.29

昼食のおにぎりを購入して四日市あすなろう鉄道の改札口へと向かい、1日乗車券を購入する。1230分発の内部行に乗車する。写真でもわかるかと思うが、やってきた車両はとても小さい。実は四日市あすなろう鉄道は線路幅が通常より狭い特殊狭軌(線路幅mm)を採用しているのだ。乗ってみるとその小ささを間近に感じることができる。ロングシートでは、座席と座席の間が非常に狭く、足を延ばせば向こう側のシートに届くのではないかというくらいの狭さなのだ。こぢんまりとした温かみのある車両である。この電車に揺られること17分、終点の内部駅に到着した。内部駅には四日市あすなろう鉄道の内部車庫があり、そこの見学をさせていただくことになっているのだ。車庫に入ってまず目に入ってきたのは、新260系だ。見学の前日に搬入されたばかりのきれいな車両である。社員の方からお話を伺う。四日市あすなろう鉄道では、朝ラッシュ時に34本を運用し、そのうち朝ラッシュ後に入庫する1本を検査するようにしている。なお、4年に1度、8年に1度の大掛かりな検査は近鉄の塩浜車庫で行っているが、検査時期は夏休み期間に設定しているという。その時期は学生の利用が少なく、減車しても影響が少ないからだ。また、特殊狭軌ゆえ、転覆しやすいため、風速15メートルで運転を見合わせることになっている。また、冷房装置についても、天井に設置すると、重心が高くなって転覆の可能性を高めるほかに、車両の柱を強化する必要があるため、冷房装置は床置きとしている。ATSの地上子については、軌間が狭く、2本のレールの間に置くと上り線用と下り線用を分けてひろうことが困難なため、レールの外側に設置されている(写真参照)。特殊狭軌のメリットしては、建設時の土地買収費や建設費が比較的安くなることがある一方で、デメリットとしては高速での運転ができないことや、多くの乗客の輸送には適していないことがある。さらに、枕木はJR狭軌用の枕木を加工する必要があり、もちろんPC枕木は製造されていない。そのため、建設当初は建設費を抑えられるというメリットがあったものの、現在ではむしろ高コストになることもあるという。内部線(あすなろう四日市-内部間)・八王子線(日永-西日野間)はかつて、近鉄が所有・運行していたが、現在では四日市市が車両や施設を所有し、運行や営業は四日市あすなろう鉄道が行っている。そのため、四日市あすなろう鉄道は近鉄時代から内部・八王子線関係の仕事を担ってきた社員が多いという。見学終了後、内部駅の駅舎前で記念撮影を行い、研修旅行の公式日程は全て終了した。

内部駅1405分発のあすなろう四日市行に日永駅まで乗車し、日永駅で八王子線に乗り換えて西日野行に乗車する。同じホームで乗り換えられ、接続はスムーズだった。日永から3分で終点西日野駅に到着し、駅前を数分散策した。西日野駅1430分発のあすなろう四日市行に乗車し、9分であすなろう四日市駅に到着した。

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(左)四日市あすなろう鉄道車内(車内 2017.08.29

(右)内部車庫入口(内部車庫 2017.08.29

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(左)レールの外側に設置されたATS地上子(あすなろう四日市駅 2017.08.29

(右)260系(あすなろう四日市駅 2017.08.29

その後、近鉄に乗り換え、近鉄四日市1448分発の特急近鉄名古屋行に乗車する。車両は汎用特急で、昨日大井川鉄道で乗車した元近鉄車両と座席が似ている。窓側がすべて埋まる程度の混雑で、次々と普通などを追い抜きながら、1517分に近鉄名古屋駅に到着した。ここでJR東海道線に乗り換え、1547分発の特別快速豊橋行に乗車する。ここから先は自宅を目指し、在来線をひたすら東に進む。豊橋駅で1642分発の普通浜松行に乗り換え、浜松駅で1720分発の普通熱海行に乗り換える。浜松駅から熱海駅までは2116両だったため、2時間半の長距離運用にも拘らず車内トイレがなく、水の飲みすぎに気を付けながら乗車する。静岡駅付近でラッシュ時間帯に重なり、車内は立ち客が出るほど混雑してきた。終点熱海駅に着くころにはすっかり日も沈んでいた。熱海駅の乗り換え時間11分で駅弁を購入しようとしたが、売り切れていたため、駅ナカの成城石井でうなぎの太巻&いなりを購入し、あわてて2003分発の快速アクティー宇都宮行に乗車する。15両編成で車内は空いており、付属編成のボックスシート一角を占領することができた。先ほど購入した弁当を味わいながら、車窓に目をやる。下り対向列車の混雑は激しく、首都圏のラッシュ時の混雑は他都市と比較しても、いかに激しいものであるかを感じることができる。車窓の景色もだんだんと見慣れたものになってゆき、2135分、ようやく品川駅に到着した。なんとも言えない達成感を感じながら、列車を見送る。ふと回りを見渡すと、ネオンの輝く東京の街が広がる。普段東京に通っていると、その特異性をあまり感じないが、このように旅行に行くといつも思う。とにかく人が多い。それこそが東京の大きなうねりを作り出し、また魅力なのだろう。だが、時折、都会の喧騒を離れ、どこかゆったりとした時間の流れる地域に行きたくなる。まだまだ乗ったことのない鉄道も多くある。これから私はどんな鉄道に乗り、どんな景色を目にするのだろうか。次なる鉄道旅行の計画を考えながら、帰宅の途についた。

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(左)近鉄特急 12400系(近鉄名古屋駅 2017.08.29

(右)東海道本線 211系(浜松駅 2017.08.29

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東海道本線 E233系(品川駅 2017.08.29

 

9.   おわりに

67日であったが、あっという間の旅であった。この旅行に尽力してくれた渉外委員、そして見学や貸し切り運転をさせていただいた各鉄道会社に深く感謝申し上げる。

 

10.          参考文献

「のと鉄道ホームページ」

  http://www.nototetsu.co.jp/20171022日閲覧)

「のと鉄道 のと里山里海号」

http://satoyama-satoumi-go.net/20171022日閲覧)

「ほたるいかミュージアムホームページ」

  http://hotaruikamuseum.com/museum20171022日閲覧)

「みち cafe wave ホームページ」

  http://hotaruikamuseum.com/cafe/menu#soft20171022日閲覧)

「富山地方鉄道 鉄道情報 ホームページ」

  http://www.chitetsu.co.jp/?page_id=65220171022日閲覧)

 

「富山地方鉄道 レトロ電車」

http://www.chitetsu.co.jp/?page_id=1267320171022日閲覧)

「京都丹後鉄道ホームページ」

  http://trains.willer.co.jp/20171022日閲覧)

「ぐるっと北近畿号案内」

  http://trains.willer.co.jp/pdf/jr-tantetsu/20170825.pdf20171022日閲 覧)

「京都丹後鉄道 観光列車案内」

  http://trains.willer.co.jp/matsu/20171022日閲覧)

「京都丹後鉄道 丹後の海」

  http://trains.willer.co.jp/tangonoumi/20171022日閲覧)

「JR西日本 Smileアドベンチャートレイン

  https://www.westjr.co.jp/press/article/2017/07/page_10798.html20171022日閲覧)

「近畿日本鉄道 観光特急しまかぜ」

  http://www.kintetsu.co.jp/senden/shimakaze/20171022日閲覧)

「大井川鐵道ホームページ」

  http://oigawa-railway.co.jp/20171022日閲覧)

「四日市あすなろう鉄道ホームページ」

  http://yar.co.jp/20171022日閲覧)

 

※写真は全て筆者が撮影した。


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