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名古屋市交通局の車両の世代と色

平成28年度入学 犬ケン

 

1. はじめに

 名古屋市交通局の車両は導入年代や搭載機器等から4つの世代に分けることができる。この世代によって車両の内外装も異なっている。ここでは乗客の目に触れる色の観点から世代間の違いを見ていく。

 

2. 世代間で共通の色

1)路線色

 名古屋市交通局の各路線には他都市の地下鉄と同様にラインカラーが定められている。東山線は黄色、名城線は紫色、名港線は紫地に白細線、鶴舞線は青色、桜通線は赤色、上飯田線は桃色である。このラインカラーが全ての車両の外装に用いられている[1][2]

 

(左)ドニチエコきっぷに掲載されている路線図(2017.10.14

(右)名城線・名港線2000形(平安通 2017.08.16

 

2)優先席以外の座席の色

 鶴舞線用の車両は全て濃紺色または青色、桜通線用の車両は全て臙脂色の座席を用いており、これらはラインカラーとほぼ一致している。一方で東山線の第2世代以降の全ての車両の座席は柿色である。

 

(左)桜通線6000形の座席(名古屋−中村区役所間 2017.08.17

(右)東山線5050形の座席(高畑 2017.08.17

 なお名城線・名港線の2000形は黄緑色、上飯田線の7000形はパープル・ブルーの座席を用いている。

 

3. 世代毎の色の差異

1)第1世代

 第1世代に属する車両は、鋼製車体で抵抗制御の東山線100系列、名城線1000系列である。どちらも廃車になって久しい。両者とも車体全面がウィンザーイエローに塗装されていて[3][4]、黄電(きいでん)の愛称で呼ばれていた。

 

2)第2世代

 第2世代に属する車両は、ステンレス車体でチョッパ制御の鶴舞線3000形、アルミ車体でチョッパ制御の東山線5000形である。冷房機器の搭載もこの世代の車両からである。3000形は廃車が進行中で、5000形は全車廃車となった。

 この世代の車両の側面は、ステンレスまたはアルミの車体にラインカラーの帯を1本巻いたものである。座席は単色であり、着席区分の縫い目がある。壁はクリーム色や淡いベージュ色、床はベージュ色や灰色で、古めかしく落ち着いた印象である。優先席の座席は両者ともに灰色である。

 

(左)右側が鶴舞線3000形。左側は3050形。(上小田井 2017.08.17

(右)3000形の車内(庄内通 2017.08.17

 

3)第3世代

 第3世代に属する車両は、軽量ステンレス車体でVVVFインバータ制御の桜通線6000形、名城線・名港線2000形、東山線5050形、鶴舞線3050形、上飯田線7000形である。3000形はコルゲート仕上げであったが、第3世代の車両はビード仕上げである。

 この世代の車両の側面は、ステンレスの車体の腰部にラインカラーの帯を太線と細線の2本巻いたものである。2000形と5050形では2本の線の間に白細線が入っている。前面に黒色が用いられていることも第3世代の車両の共通点である。座席はバケットシートで、背ずりには着席区分を示す各形式共通の模様が描かれている[5]。壁は白色、床は通路部が座席の色(模様入り)、それ以外がアイボリー[6]で、全体的に明るい印象である。優先席の座席は7000形以外が灰色、7000形が薄いパープル・ブルーで、どちらも他の座席と同じ模様が入っている。なお2000形と5050形は、座席や床の色がラインカラーと異なるためか、荷物棚の通路側にラインカラーの彩色が施されている。

 

(左)桜通線6000形(久屋大通 2016.12.31

(右)東山線5050形(高畑 2017.08.17

鶴舞線3050形の車内(上小田井 2017.08.17

 

(左)名城線・名港線2000形の車内(大曽根 2017.08.17

(右)2000形の優先席(大曽根 2017.08.17

 

(左)上飯田線7000形(味鋺 2017.03.18

(右)7000形の車内(上飯田 2017.04.01

 

4)第4世代

 第4世代に属する車両は、軽量ステンレス車体でVVVFインバータ制御の東山線N1000形、桜通線6050形、アルミ車体またはステンレス車体でVVVFインバータ制御の鶴舞線N3000形である。第3世代のステンレス車両にはビードがない。方向幕がLEDとなったほか、初期の車両を除きLCD式の車内案内装置(ハッチービジョン)を備えている。

 この世代の車両の側面は、ステンレスまたはアルミの車体の腰部にラインカラーの太帯+細白帯+ラインカラーの細帯を、上部にラインカラーの細帯[7]を巻いたものである。前面には第3世代の車両と同じく黒色が用いられている。座席はバケットシートで、背ずりと座面に一様に模様が描かれている。壁は白色、床は扉付近が黄色、それ以外が茶系石目調で、こちらも明るい印象である。優先席の座席はN1000形と6050形が紫色、N3000形が朱色であり、どちらも他の座席と同様の模様が入っている。

 

(左)東山線N1000形(高畑 2017.08.17

(右)N1000形の車内(高畑 2017.08.17

 

(左)桜通線6050形(中村区役所 2017.08.17

(右)6050形の側面と車内(中村区役所 2017.08.17

 

(左)右側が鶴舞線N3000形(上小田井 2017.08.17

(右)N3000形の車内(上小田井 2017.08.17

 

(左)6050形の優先席(中村区役所 2017.08.17

(右)N3000形の優先席(上小田井 2017.08.17

 

4. 終わりに

 このように名古屋市交通局の車両の色には世代毎の特徴がある。これはそれぞれが登場した頃の時流を反映した結果である。また同じ世代の中でも細かな変化があり、目的は何なのかと興味を惹かれる。

 現在名古屋市交通局ではN3000形の導入による3000形の廃車が進んでいる。3000形を別の新形式の車両で置き換えることやN3000形にマイナーチェンジが施されることもあり得るが、名古屋市交通局に新しい色使いの車両が現れるのは第3世代の車両の置き換えが始まる時となる可能性が高い。しかし現在6000形、2000形、5050形に電気機器の更新が施されていることから、置き換えの時期はしばらく先だと思われる。つまり次に登場する車両は、その間の風潮の変化に対応し、これまでとは大きく異なる色使いになると考えられる。どのような車両になるのか今から楽しみである。

 

*写真は全て筆者が撮影した。

 

参考文献

名古屋市交通局(総務部広報広聴室)『市営地下鉄開業50周年記念 名古屋の地下鉄 メモリアル50』(名古屋市交通局(総務部広報広聴室)・2008


[1] ラインカラー制定前に登場した車両については、その塗装からラインカラーが決められたため、結果的にラインカラーを纏っていた。

[2] 現在の名城線と名港線の車両は2000形で共通である。その外装は紫地+白細線の帯がステンレス車体に巻かれたものであるが、この白細線は他路線の車両でも見られることと名港線の名城線からの独立・ラインカラー制定より前からこの帯色であったことから、名港線のみを強く意識した外装とは言えない。

[3] これは画家の杉本健吉氏が選定したものである。

[4] 名城線用の1000系列は東山線用の100系列と区別するために補色である紫色の帯が腰部に巻かれていた。

[5] 3世代の中で最初に登場した6000形第1編成の座席は第2世代のものに準じている。7000形の座席には名古屋の名所をあしらった柄が入っている。

[6] 6000形は通路部がアイボリー、それ以外が臙脂色(単色)である。7000形は塗り分けの境界が異なる。通路部の模様は形式によって違っているほか、7000形は床全体に模様が入っている。

[7] 車体上部の帯は、ホームドアの設置によって腰部の帯がホームから見えづらくなることを見越して巻かれたものと思われる。


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