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長野地区115系の塗色の変遷

平成29年度入学 長ナノ

1.    はじめに

 国鉄時代から長きにわたり長野地区の普通電車の主力を占めていた115系であったが、北しなの線開業に伴いしなの鉄道に譲渡されたことに加えて、211系の玉突き転属によってJR東日本長野支社管内での115系の営業運転は2015年春ダイヤ改正によって消滅した。しかしながら、なお長野地区においてはしなの鉄道が多数の115系を運用し、今年度にはリバイバル塗装を施すなど、その勢力は依然として無視できない存在といえよう。

そこで、本稿においては115系の運用の変遷についておおまかに記すとともに、その塗色の変遷を主として民営化以後を対象として記してみたい。なお、ここでいう長野地区とは、特に注記のない限りで現在の東日本旅客鉄道株式会社長野支社およびしなの鉄道株式会社の管轄区域を指すものとし、旧国鉄長野鉄道管理局が管理していた区間のうち、塩尻―坂下間と南小谷―北小谷間を含まないものとし、旧国鉄高崎鉄道管理局が管理していた区間のうち、信濃追分―軽井沢間を含むものとする。

 

2.     115系の概要

 まず大まかではあるが115系とはどのような車両なのかということについて軽く説明をしておきたい。

 115系は直流近郊形電車に分類され、1963年から1983年までという長きにわたり製造された国鉄型電車の典型的な形式の一つである。ほぼ同時期に製造された113系は都市部を中心に用いられた一方で、115系は山間部・寒冷地・急勾配路線での運用が想定されたために最小単位を4両(1963年当時)としたものである。

 113系および115系は通勤ラッシュの激しさが増すとともに誕生した形式といえよう。これら以前に東海道線(東京口)では80系(2ドア車)や客車が多く用いられ、ラッシュに対応することは困難となっていた。そこで3ドア車である113系が導入され、最大15両編成でラッシュに対応した。また、地方でも電化が進み中長距離の普通列車が運行されるようになったことから、東北本線(上野口)などを中心に115系が投入されていくようになる。

113115系は首都圏ではステンレス車体を採用した211系直流近郊形電車や「新系列車両」にあたるE231系直流近郊形電車によって置き換えられたが、115系についてはJR東日本管内では高崎・新潟・長野の各支社管内において、またJR西日本管内では山陽地区において長きにわたり運用され続けた。現在は置き換えによりその数を減らしているものの、未だに115系が地域輸送において主力となっている地域もある。

 

3.       115系の長野地区における動き

 塗色の変更について検討する前に、まずは長野地区における115系の運用の変遷をみていきたい。

列車, トラック, 建物, 屋外 が含まれている画像

非常に高い精度で生成された説明

115S11編成(しなの鉄道所属)(長野駅にて本年116日撮影)

 前述の通り、客車や旧形電車、それに80系電車の置き換えとして導入された新性能電車のうち、本格的に地方に導入された初期の電車である。しかしながら、モノコック構造による車体は極めて丈夫であり、幾度となく機器改造を受けながらも運用されてきた。

 当初は松本運転所(当時)に配置されたが、やがて増備が進んだことで長野運転所(当時)にも配置された。民営化後も引き続き長野地区のローカル輸送を支え続け、長野新幹線(当時?) 開業直前にはほとんどの普通電車が当形式か急行型の165169系によって担われており、運用される線区は信越本線(当時)、篠ノ井線、中央東線の全線と、大糸線(南小谷以南)にわたり、実質的に非電化区間である飯山線、小海線を除くすべての線区で運用されていたほか、高崎までの長距離運用も存在した。

 長野新幹線開業(1997101)に合わせて開業した第三セクターのしなの鉄道に対し、長野支社から1153×11本が譲渡された。(S1S11編成、このうち未更新車のS5編成は廃車済み)しかし、長野支社は相変わらず115系を中心とした運用を継続し、ローカル輸送を115系が担うという図式に大きな変化はなかった。この当時、115系は3両編成を主力としつつも、大糸線・篠ノ井線などの単線区間を中心に2両編成も運用された。

 その後は2000年に入って宇都宮線、翌年には高崎線に新系列車両の集大成ともいえるE231系電車が投入され、置き換えられた1156両編成が松本車両センターに転属してきた。これがいわゆるC編成である。ほとんどが松本以東の中央東線における運用であったが、2007年に車両配置上は長野総合車両センターに転属した。

 これによって、長野地区では115系が2連や3連のN編成と、6連のC編成とで需要に応じた柔軟な運用を実施するようになった。

 この115系全盛期に異変が生じたのは2013年のダイヤ改正のことである。前述のE231系・E233系電車によって211系電車が淘汰され、玉突き転用として元幕張車・高崎車が当地に転属してきたのである。その結果115系は3両編成を中心に廃車や新潟支社への転属が起こった。また、E127100番台の篠ノ井線内での運用増加に伴い、2両編成についてはしなの鉄道線での運用に限定され、その後譲渡となった。

 翌年6月からは、元田町車の2116両編成が転入したことで、115系のC編成についても置き換えが開始された。

 そして2015年ダイヤ改正で長野妙高高原間がしなの鉄道に移管されるに至って、すべてのN編成がしなの鉄道・新潟支社に譲渡されるか廃車となり、同年10月にC編成も定期運用から外れ、長野地区でのJR115系の定期運用は完全に終了した。なお、C編成については横須賀色C11122日の引退運転をもって最後の長野地区JR115系の運用となった。

 現在では、N15編成のみが訓練車として在籍している。

 

4.    長野地区115系の塗色

 長野地区の115系の塗装としては、大きく分けて5種類がある。写真を合わせて乗せるので詳細については記載しないこととする記載しないこととする。

       [1]湘南色

       [2]横須賀色

       [3]初代長野色

       [4]新長野色

       [5]しなの鉄道色

 


 

[1]湘南色

空, 屋外, 列車, 輸送 が含まれている画像

非常に高い精度で生成された説明

湘南色の115系(左がN15訓練車、右がN9

長野総合車両センターにて20151010日に撮影

 国鉄時代はほとんど(中央東線を除く)の路線で115系は湘南色に塗装されていた。その後後述する長野色への塗り替えによって一時期は姿を消したが、N9編成とN15編成については湘南色に再塗装された。現在はN9編成は新潟へ転属となったが、N15編成については訓練車としての活躍を続けている。また、しなの鉄道所属のS3編成が信州ディスティネーションキャンペーンに伴い、今年度湘南色に再塗装されている。

 

[2]横須賀色

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横須賀色の115(C1)

長野駅にて20151122日に撮影

 前述の通り国鉄時代は中央東線を中心に活躍したが、民営化に伴い長野色に再塗装されたことから、一時的に消滅した。しかしながら、2014年にC1編成が再出場した際に横須賀色に塗り替えらえられた。

 現在ではC1編成は廃車となり解体されたが、今年度しなの鉄道所属S16編成が横須賀色に再塗装された。

 

[3]初代長野色

20170616_115_syodai_naganosyoku.JPG

初代長野色の115(しなの鉄道S7編成)

しなの鉄道株式会社HPより転載

 民営化直後の1989年に登場し、信州らしいカラーリングを目指した塗装であるが、長野オリンピックの開催決定に伴って、1992年より後述する新長野色への塗装変更が行われてこの塗装は廃止された。現在はしなの鉄道S7編成がリバイバル塗装として復活しているのみである。


 

[4]長野色

長野色の115(C編成,番号不明)

北長野駅にて2013421日撮影

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長野色の115(しなの鉄道S13編成)

長野駅にて2016317日撮影

 1992年から初代長野色に代わり採用され、15年近くにわたり長野の115系の代表的塗色となっていた。一時期はほとんどすべての編成がこの塗色となっており、しなの鉄道に譲渡された車両も全般検査時までは塗色変更されずにステッカーを貼り付けて使用される場合も多い。

 現在は徐々に数を減らしてきているものの、北しなの線開業時に譲渡された編成を中心に残っている。

 

[5]しなの鉄道色

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しなの鉄道色の115(編成番号不明)

長野駅にて2015517日撮影

 しなの鉄道に譲渡された車両について、同社が独自の塗色を施したものである。115系は老朽化が進んでいるため、将来のステンレス車置き換えを意識した塗色である。

 現在は長野色やリバイバル塗装、それに後述するろくもん(S8編成)を除くすべての編成がこの塗色である。

 


 

その他の塗色

 過去にはコカ・コーラ塗装が存在したほか、現在は観光列車「ろくもん」用の塗装が存在する。詳しく記載することはせず、画像の紹介にとどめることとする。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f2/JRE-EC115-1000.jpg

コカ・コーラ塗装の115

(https://ja.wikipedia.org/wiki/国鉄115系電車より引用)

 

C:UserssmallAppDataLocalMicrosoftWindowsINetCacheContent.WordIMG_2678.jpg

「ろくもん」塗装の115(S8編成)

長野駅にて2014928日撮影

また、既存の塗装(長野色やしなの鉄道色)にラッピングを施した編成も存在する。


 

5.     まとめ

115系はその姿を変えてはいるものの、いまなおローカル輸送において重要な役割を果たし続け、地域の人々に愛される車両であるのだろう。今後しなの鉄道には新車が導入される計画があるが、これらの115系の動きに今後とも注目していきたい。

 

6.     参考文献

・しなの鉄道株式会社ホームページ

       https://www.shinanorailway.co.jp/

・鉄道ニュース

       https://railf.jp/news/

・しなの鉄道開業20周年記念サイト

       https://www.shinanorailway.co.jp/20thAnniversary/

すべて201710月1日閲覧


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