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ディズニーリゾートライン

ディズニーリゾートライン

平成30年度入学 岳ヒナ

 

1. はじめに

 今年の五月祭での展示テーマは「円環をめぐる鉄道」ということで、様々な環状線や、環状運転などについての特集になっている。本記事では筆者が大のディズニー好きであることから、千葉県浦安市の東京ディズニーリゾートの周囲を一周するモノレール、ディズニーリゾートラインについて紹介していく。

 

2. 概要

 ディズニーリゾートラインは、ディズニーシーが開園する約一か月前の2001727日に開業した、エリア内を移動するゲスト向けに作られた一周約5kmの単線の環状モノレールである。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドの完全子会社である株式会社舞浜リゾートラインによって運営されている。ディズニーリゾート内の各施設を結ぶことでゲストが行き来しやすくなるほか、このモノレール自体もディズニーリゾート全体の景観を形づくるという狙いもある。

(左)ディズニーリゾートラインの案内図(ディズニーリゾートライン公式HPより引用)

(右)舞浜駅から降りたゲストを出迎えるリゾートライナー(JR舞浜駅前 2019.03.12

 

3. 車両

ディズニーリゾートラインの車両は「リゾートライナー」と呼ばれ、ブルー、イエロー、パープル、グリーン、ピーチの5編成が存在する。各編成はそれぞれ6両編成、全長約84m、定員537人である。車両形式は跨座式モノレール、その中でも日本跨座式という多摩都市モノレールやゆいレールなどと同じ形式である。モーターはVVVFインバータで、中間車4両に搭載されている。平常時は自動運転で、先頭車両では運転台は設置されているものの普段は箱の中にしまわれており、前面展望席になっている。車庫への回送などの時にはこの運転台が使用されることもある。最後尾の車両には乗務員室があり、ドアの開閉や車内放送を担当するガイドキャストが乗務している。

(左)先頭車両の前面展望席(リゾートライナー車内 2019.03.12

(右)最後尾にある乗務員室(イエロー編成車内 2019.03.12

 

車内にある窓やつり革は丸三つでおなじみのミッキーマウスの形を模しており、シートは大きく湾曲している珍しい形となっている。また、車内には東京ディズニーリゾートの公式ファンクラブ、ファンダフルディズニーのグッズやバケーションパッケージのグッズなどが展示されているショーケースがあり、BGMもディズニーランド等のエントランスと同様に美女と野獣やピノキオなど有名なディズニー映画の曲のアレンジが流されている。

車内のご紹介のイメージ1

(左)車内にあるファンクラブの紹介ブース(イエロー編成車内 2019.03.12

(右)車内のシートや窓、つり革の様子(ディズニーリゾートライン公式HPより引用)

 

また、期間限定でその時にパーク内で開催されているイベントに合わせたリゾートライナーが運行されており、例えば去年4月~今年3月にはブルー編成が35周年限定デザインの「ハピエストセレブレーション・ライナー」になり、車内のBGM35周年イベントのテーマソングになっている。さらに、12月~3月にディズニーシーのイベントに合わせた「ピクサー・プレイタイム・ライナー」が運行され、トイストーリーやモンスターズインクなどのピクサー作品のキャラクターがデザインされている。こちらは、車体のラッピングはないが、車内のラッピングが上記のものより多くなっている。歴代の期間限定リゾートライナーについてすべて説明すると長くなるので省略するが、公式サイトには過去のものも掲載されているのでぜひそちらを参照してほしい。

営業時の最高制限速度は50km/hとなっており、東京ディズニーランド・ステーション-ベイサイド・ステーション間と、ベイサイド・ステーション-東京ディズニーシー・ステーション間の一部がこれに該当する。この速度制限はレール上に書かれている数字から確認することができる。

(左)ピクサー・プレイタイム・ライナーの天井部(イエロー編成車内 2019.03.12

(右)レール上にある速度制限表示TDL・ステーション 2019.03.12

 

4. 運行形態

 ディズニーリゾートラインの特徴的な点として、変則的なダイヤグラムが挙げられる。乗換案内のwebページ各種においては法令の規定により定められた時刻表が掲載されているが、公式ホームページには始発と終電、駅のホームには6時台と23時台の時刻表および現在の運行間隔しか掲載されていない。これは、各パークの開園時間や閉園時間、それ以外の様々な要因で日毎に大きく変動する混雑状況によってリゾートライナーの運行間隔を適宜変更しているためである。

ホームにある発車標(リゾートゲートウェイ・ステーション 2019.03.12

 

一日の大まかな運行形態について説明する。まず、5:57に舞浜駅に到着する西船橋方面からの武蔵野線始発列車に接続をとるために、始発のリゾートライナーは6:03にリゾートゲートウェイ・ステーションを発車する。この後、閑散期は9:0010:00、繁忙期には8:00頃にあるパークの開園時間に合わせ走行させる編成数を増やしていく。車庫を出庫したリゾートライナーは全てリゾートゲートウェイ・ステーションが始発駅となる。混雑状況によって1編成(約13分間隔)、2編成(約7分間隔)、3編成(約4分間隔)、4編成(約3分間隔)の4パターンがある。駅のホームでは時刻ではなくこの運転間隔による案内を行っている。開園後23時間ほど経ち混雑が落ち着くと、一部のリゾートライナーが東京ディズニーシー・ステーション止まりやベイサイド・ステーション止まりとなり、車庫に回送される。その後、通常は20:0022:00頃にある閉園時間が近づくと、再び運行間隔を短くする。終電のリゾートライナーのみはリゾートゲートウェイ・ステーション止まりとなり、この駅に24:04に到着する。

また、大晦日から元日にかけては両パーク内でカウントダウンイベントを行うため、他の鉄道と同様にディズニーリゾートラインでも終夜運転を行う。

 

5. 運賃、きっぷ

 普通乗車券はおとな260円、こども130円の均一運賃となっている。1枚の普通乗車券では最長で1周まで乗車できる。開業当時は200円だったが、ベイサイド・ステーションの近くにあった東京ベイNKホールが2005年に閉館したこと、そしてこの周辺にあるオフィシャルホテルが従業員用バスの運行を開始したことで舞浜駅の徒歩圏内ではない地区への乗客が減少したことにより値上げされた。かつて首都圏の私鉄各社で使われていたプリペイドカードの「パスネット」はこの路線でも使用が可能だった。また、2009年からPASMOに対応し、現在は全国相互利用の交通系ICカードに対応している。消費税増税の時には他社と同様にIC運賃の導入も検討されたが、混乱を避けるためIC運賃も同額の260円となっている。

 また、ディズニーリゾートラインの特徴的な点として、ディズニーリゾートで1デーパスポートから4デーパスポートまで発売されているのに合わせて、14日間のそれぞれのフリーきっぷが発売されている。これらはそれぞれ650円、800円、1100円、1400円となっており、期間が長いほど1日当たりの値段は安くなっている。また、これらのフリーきっぷは同じ駅でも券売機によってデザインが異なり、パーク内で開催されるイベントに合わせた期間限定のデザインなども存在する。さらに、ホテルミラコスタや東京ディズニーランドホテルに宿泊する場合、その宿泊期間分の限定デザインのフリーきっぷが特典として用意される。

(左)期間限定デザインのフリーきっぷTDL・ステーション 2019.03.12

(右)券売機ごとに購入できるデザインが分かるTDS・ステーション 2019.03.12

 

 ディズニーリゾートラインでは他の鉄道と同様に通勤定期及び通学定期が存在する。これらはリゾートゲートウェイ・ステーションの乗車券センターで発売され、PASMOなどのICカードも利用することができる。通勤定期は主にオフィシャルホテルの従業員などが利用し、通学定期に関しては専門学校の実習生がオフィシャルホテルで研修を行うときなどに利用される。

 そのほかにも11枚つづりの回数券や25名以上で利用できる普通団体乗車券(1割引)、学校団体乗車券(2割引)も存在する。

 

6. 駅及び沿線

 上述のようにディズニーリゾートラインには4つの駅がある。各駅は周辺施設に合わせたデザインとなっており、さらに一部の駅では特徴的な構造をしている。ここからはそれぞれの駅について紹介していく。

6.1 リゾートゲートウェイ・ステーション

 この駅はリゾートラインの始発駅及び終着駅とされており、実際に全てのリゾートライナーの始発駅かつ終電の終着駅となっている。JRの舞浜駅から徒歩2分の所にある乗換駅であり、商業施設のイクスピアリに隣接している。この両駅の間には、各ホテルへのバゲッジデリバリーなどを行うウェルカムセンターがあり、ホテル宿泊者向けのフリーきっぷはここで受け取ることができる。2017年度の1日平均利用者数は18715人、うち定期券利用者は152人となっている。

舞浜という名前はもともとウォルト・ディズニー・ワールド・リゾートのあるマイアミが由来であり、舞浜駅周辺はマイアミの浜辺をモチーフにしておりヤシの木などが植えてある。この駅もそのモチーフに合わせて、外観はトロピカルなデザインとなっており、内部も開放的な作りになっている。また、駅名標にもヤシの木がデザインされている。

(左)リゾートゲートウェイ・ステーションの外観2019.03.12

(右)ホームにある駅名標(リゾートゲートウェイ・ステーション 2019.03.12

 

ホームは21線という特殊な形になっており、進行方向向かって右側が乗車ホーム、左側が降車ホームとなっていて、改札は2階舞浜駅側にあるメインの改札口のほか、3階にイクスピアリに直結する降車専用の改札がある。駅構内図から分かるように乗車ホームへは2階コンコースから直接向かう形になっているが降車ホームからは3階コンコースを経由して2階に向かう形になっている。特に、日中は降車人数に対して乗車人数が多いため、3階と2階の間の階段およびエスカレーターが閉鎖され、降車するゲストは3階の改札口に誘導される。定期券の発行などを行う乗車券センターはこの駅の2階改札口の脇にある。

改札横にある乗車券センター(リゾートゲートウェイ・ステーション 2019.03.12

リゾートゲートウェイ・ステーションの駅構内図

(ディズニーリゾートライン公式HPより引用)

 

 ここから次の東京ディズニーランド・ステーションへは制限速度が29km/hとなっている。また、駅間が短く歩道橋も整備されているため、徒歩で行く人も多い。

 

6.2 東京ディズニーランド・ステーション

 この駅は東京ディズニーランドのメインエントランスと東京ディズニーランドホテルの間に位置する駅である。2017年度の1日平均利用者数は9563人、定期券利用者は0人となっている。上述の通り舞浜駅からかなり近いため、利用者は比較的少なくなっている。

デザインは、パークに入ってすぐにある、ミズーリ州マーセリンの街並みをモデルとしたワールドバザールに合わせ、ヴィクトリア朝様式のデザインになっている。また、駅舎の外側正面と自動券売機上部にミッキーマウスのデザインの時計があるのも特徴的である。

駅は11線のシンプルな構造であり、ホームと改札口が直接つながっている。改札外にはエレベーターとエスカレーターが2基ずつあり、特にエスカレーターは改札出て右側が下り、左側が上りとして使用されている。改札入って左手に小さい待合室があるが、そこには「ディズニーランドにおけるモノレール建設」というタイトルのパネルが展示されており、ウォルト・ディズニーがディズニーランド・モノレールを建設するまでのエピソードが写真とともに紹介されている。

(左)東京ディズニーランド・ステーションの外観2019.03.12

(右)駅構内にある時計(東京ディズニーランド・ステーション 2019.03.12

 

この駅を出ると、ディズニーランドの駐車場沿いに進む。直線区間が多く、制限速度は50km/hとなっている。

 

6.3 ベイサイド・ステーション

この駅はディズニーリゾートの海岸沿いに立ち並ぶオフィシャルホテルの玄関口となっている駅である。ディズニーランドの駐車場にも近いが、現在は工事の影響で駐車場への通路は閉鎖されている。2017年度の1日平均利用者数は7366人、定期券利用者は103人となっている。パークのエントランスがないため利用者は少ないが、ホテルへの通勤、通学での利用者が比較的多い駅である。

海辺の近代的な雰囲気に合わせて、駅舎のデザインも開放的なものとなっている。ホームからはホテル群が一望でき、駅舎最上部のミッキーマウス形の切り抜きも印象的である

構造自体は先ほどのディズニーランド・ステーションと同様に11線のシンプルな形であり、エスカレーターは2基、エレベーターは1基設置されている。駅の1階部分には駅と各ホテルを結ぶ無料のシャトルバスのバスターミナルがある。

ベイサイド・ステーションのイメージ1

(左)ベイサイド・ステーションの外観(ディズニーリゾートライン公式HPより引用)

(右)駅前のバスターミナル(ベイサイド・ステーション 2019.03.12

 

この駅を出ると東京ディズニーシーの裏を回り込む形で次の駅へ進み、左側の車窓からはインディー・ジョーンズ・アドベンチャーやタワー・オブ・テラーなどの裏側が見える。パーク内のポートディスカバリーとアメリカンウォーターフロントは、堤防の内側の港と東京湾が一体化して見えるように作られている。そのため、この近辺ではリゾートライナーは壁の裏側の低いところを走行し、パーク内からは見えないようになっている。しかし、S.S.コロンビア号の甲板上は展望デッキとなっており、リゾートライナーを見ることができる。

(左)ディズニーシー裏の線路の様子

(ベイサイド・ステーションTDS・ステーション間 2019.03.12

(右)パーク内から見たリゾートライナーS.S.コロンビア号甲板上 2019.02.19

 

6.4 東京ディズニーシー・ステーション

この駅は駅名の通り、東京ディズニーシーとそこに隣接するホテルミラコスタの最寄り駅であり、駅舎は直接東京ディズニーシーのパーク内に面している。2017年度の1日平均利用者数は23184人、定期券利用者は2人となっていて、ディズニーリゾートライン内では最も利用者数が多い駅である。

デザインはディズニーシーのエントランスに合わせてイタリア・トスカーナ地方をモチーフにしており、レンガ風の壁や石畳が特徴的である。また、この駅の特徴として、ほかの駅や車内ではBGMとしてディズニー作品の曲のアレンジなどの汎用のものがつかわれているが、この駅では東京ディズニーシーのエントランスで使われているオリジナルBGMを使用している。

この駅も21線で乗車ホームと降車ホームが分かれている特徴的な形となっている。また、リゾートゲートウェイ・ステーションとは違い、改札も乗車専用と降車専用に分かれている。そのため、例えば各駅で発売されているスーベニアメダルはこの駅の場合乗車専用改札の中にあるため、降車時には購入することができない。降車ホームにはメインの改札のほか、ホテルミラコスタへの連絡通路につながる改札があり、駅からホテルまで屋根のある通路で行くことができる。また、降車ホーム側には展望デッキがあり、パークエントランス内にあるアクアスフィアなどを眺めることができる。この駅の駅舎は東京ディズニーランド・ステーションとは違いかなり大きく、駅舎内にインフォメーションセンターが併設されている。

(左)東京ディズニーシー・ステーションの改札口2019.03.12

(右)ホテルミラコスタへの連絡口TDS・ステーション2019.02.19

 

この駅の先ではディズニーリゾートラインの車庫や運営会社である舞浜リゾートラインの本社、東京ディズニーリゾート全般の経営を行うオリエンタルランドの本社の横を通る。そのため、パーク内のショーなどで使用されるフロートなどが見えることがある。

(左)車庫に入庫するリゾートライナー(舞浜リゾートライン本社前 2019.03.12

(右)車内から見た、ハロウィンイベントで使用されたフロート

TDS・ステーション―リゾートゲートウェイ・ステーション間 2019.03.12

 

7. おわりに

ここまで、ディズニーリゾートラインを様々な側面から紹介させてもらった。ディズニーリゾートラインは、ただ単にパークに来たゲストを運ぶ乗り物ではなく、「夢と魔法の王国」と「現実世界」をつなぐ重要な役割を担っている。そのため、パークに来たゲストに特化した利便性があることはもちろん、デザイン性やこだわりが随所に見ることができる。ぜひ、“ただのモノレールとして乗るのではなく、パークに入る期待、パークから出た余韻をこのディズニーリゾートラインで膨らませながら楽しんでほしい。

 

8. 参考文献

「ディズニーリゾートライン 公式ホームページ」

https://www.tokyodisneyresort.jp/tdr/resortline.html  201949日閲覧)

「ディズニーリゾートラインについて」

http://www.olc.co.jp/ja/tdr/profile/resortline.html 201948日閲覧)

「千葉県統計年鑑」

https://www.pref.chiba.lg.jp/toukei/toukeidata/nenkan/nenkan-h29/index.html#a11 201948日閲覧)

「鉄道トリビア ディズニーリゾートラインにも通学定期券がある」

https://news.mynavi.jp/article/trivia-414/ 201948日閲覧)


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