JR三島会社に未来はあるか
平成28年度入学 朝カゼ
2016年10月、JR九州は、全株式を一括売却し、東京証券取引所第一部に上場。完全民営化を果たした。1987年4月の国鉄分割民営化から29年後、国鉄民営化の歴史にとって、一つの重要なエポックとなった。
一方、その翌月11月、JR北海道は、全路線の約半分を単独で維持できないと発表した。JR四国も、経営の苦境が続いている。二島の経営状況好転の兆しは、全く見えてこない。
その違いはどこから生じたのか。民営化はメリットを発揮しているのか、民営化は「三島」にとって有効な処方箋であったのか。本稿では、JR三島(北海道・四国・九州)会社の経営を様々な角度から比較し、「民営化」の意義を評価する。その上で、公共交通機関である鉄道の運営形態のあり方について、考えてみたい。
1. 経営を支える制度
(1)JR三島会社とは
JR三島会社は、1987年、実質的に経営破綻状況にあった国鉄(日本国有鉄道)が、以下に示す法人に分割民営化された結果、誕生した。
・6旅客鉄道株式会社(北海道、東日本、東海、西日本、四国、九州)
・日本貨物鉄道株式会社
・新幹線鉄道保有機構(〜1991年)
・鉄道通信株式会社(現「日本テレコム」)
・財団法人鉄道総合研究所
・鉄道情報システム株式会社
・旧国鉄は日本国有鉄道清算事業団に名称変更。(→日本鉄道建設公団(鉄道公団)→独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構))
JR三島会社とは、北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社を合わせた呼称である(以下「三島会社」という)。
しかし、当初のJR7社は、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(通称「JR会社法」)によって様々な規制を受け、旧運輸省(現:国土交通省)の監督下にあった。法の規定に基づき、7社とも全株式を国鉄清算事業団が保有する特殊会社であったが、2001年にJR東日本・JR東海・JR西日本が同法の適用対象から除外され、そして冒頭に述べたように、2015年、JR九州も同法の適用対象から除外された。その結果、これらの4社は一般の民間鉄道会社となり、さらに、2002年にJR東日本、2004年にJR西日本、2006年にJR西日本が、2016年にJR九州が完全民営化(国が保有する全株式を売却)した。
一方で、JR北海道、JR四国、JR貨物は、上場の見込みが立っておらず、国鉄清算事業団の流れを汲む鉄道・運輸機構が全株式を現在も保有したままである。
だが、JR九州も、発足時から経営が軌道に乗っていたわけではない。三島会社は旅客数が少なく、経営基盤が弱いことから、設立当初から経営赤字になることが見込まれていた。そのため、国鉄長期債務の処理は負わされず、三島各社のための「経営安定基金」が設置された。その後も、経営の安定・自立を目指し、固定資産税等の減免や財政支援が実施されている。
以下、1章では、三島会社の経営を支えるこうした各種の制度について概説する。そして、2章で三島各社の経営状況を具体的に分析し、更に3章で民営化について議論する。
(2)経営安定基金
経営安定基金は、三島会社の経営を支える最も基本的な仕組であった。三島会社設立と同時に設置された経営安定基金の額は、計1兆2781億円(JR北海道6822億円、JR四国2082億円、JR九州3877億円)に上る。
経営安定基金の目的は、基金の運用収益によって、三島会社に見込まれる営業損益の赤字を補うことにあった。基金の額については、「営業利益のおおむね1%程度の経常利益が出るような調整措置が必要とされ、調整措置の額を当時の長期国債の過去10年の平均利率7.3%によって割り戻して」決定された(会計検査院2016)。基金は、旧国鉄清算事業の拠出により設立された。
しかし、1990年代のバブル崩壊や2008年のリーマン・ショックを契機とした景気後退による影響、日銀の金融緩和政策等により、金利は大幅に低下している。例えば、新発10年国債の金利の2017年3月16日終値は0.070%に過ぎない。現在の金利状況は、基金設置当初(10年国債の1987年4月1日終値は5.585%)の想定と大きくかけ離れており、経営安定基金の運用に大きな影響を及ぼしている。
図表1. 「長期金利推移グラフ 新発10年国債【過去10年分の推移】」(日本相互証券株式会社より引用http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata01.html)
そこで、1997年度(10年国債の1997年1月6日終値は2.824%)以降、経営安定基金の運用収益を確保するために、市中金利よりもはるかに高い利率で、基金の一部を鉄道・運輸機構に貸し付ける、という仕組が出来上がった。その利率は、1997年度から2001年度までは年率4.99%、2002年度から2011年度までは年率3.93%となっている。この高い利息の財源は、どこから出ていたのか。鉄道・運輸機構の公式ホームページには、その説明が見当たらない。しかし、『鉄道ジャーナル 2016年5月号』には、こう説明されている(坂井弥生2003を始めとして、他にも同様の分析がされている)。
「鉄道・運輸機構は、もと新幹線保有機構の業務を引き継ぎ、JR本州3社への新幹線の譲渡代金を特定財源としている。いわば、JR三島会社の支援が、新幹線を運行するJR本州3社の負担のもとに実施されたのである」(佐藤信之2016)。
経営安定基金のこの鉄道・運輸機構への貸付けは、平成28年度末に終了する。機構への貸付割合は年々減少傾向にあり、三島会社による自主運用が主となってきている。平成17年度と平成26年度の、それぞれの機構貸付と自主運用との割合を比較したのが、以下の図表2である。
|
年度 |
機構貸付割合 |
自主運用割合 |
JR北海道 |
平成17 |
74% |
26% |
|
平成26 |
8% |
92% |
JR四国 |
平成17 |
86% |
14% |
|
平成26 |
31% |
69% |
JR九州 |
平成17 |
75% |
25% |
|
平成26 |
5% |
91% |
図表2. 経営安定基金について、平成17年度と平成27年度における機構貸付と自主運用の割合
(会計検査院 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書「北海道、四国、九州各旅
客鉄道株式会社の経営状況等について」(平成28年2月)より図表20〜22「経営安定基金資産の運用実績」に公表された値を基に、筆者が作成。)※各年度、割合の大きい方に下線を引いている。
図表2から明らかな通り、JR四国は、機構への貸付割合が他2社に比べて大きい。自主運用は景気などの影響を受けやすく、リスクが大きいとされている。全額が自主運用となる平成29年度以降に、安定した基金運用益を保てるかが大きな課題となっている。
経営安定基金の運用収益が、各社の経営の中でどの程度のウェイトを占めているかについては、後述の第2章「各社の経営状況」で見る。
以下の図表3は、JR北海道とJR四国の平成27年度決算公告の貸借対照表(純資産の部)と、JR九州の平成26年度決算公告の貸借対照表(純資産の部)を参照し、作成したものである。JR北海道とJR四国は、経営安定基金が純資産の7割をも占めている。会社は経営安定基金によって成り立っていると言っても過言ではない。
|
A・Bは下の日付現在 |
A経営安定基金 |
B純資産合計 |
(A/B) |
JR北海道 |
平成28年3月31日 |
682,200 |
925,438 |
73.72 |
JR四国 |
平成28年3月31日 |
208,200 |
295,207 |
70.53 |
JR九州 |
平成27年3月31日 |
387,700 |
740,281 |
52.37 |
図表3. 経営安定基金の純資産合計に占める割合
(JR北海道は平成28年度3月期決算公告、JR四国は第29期決算公告(平成27年4月〜平成28年3月)、JR九州は平成26年度決算公告で発表された値を基に、筆者が作成。)
※AとBについて単位は百万円で、単位未満は切捨。(A/B)×100は小数点第三位以下四捨五入。
一方、JR九州における割合は他2社よりも低いとは言え、経営安定基金が平成26年度の純資産の半分以上を占めている。なお、JR九州の平成27年度の決算公告の貸借対照表では純資産の部の経営安定基金は「その他資本剰余金」の項目に振り替えられていて、経営安定基金の項目はなくなっている。これは、JR九州の完全民営化に伴う措置である。
上場に伴い、JR九州の資本の部の経営安定基金については、全額取り崩された。旧JR会社法では経営安定基金の取崩しが禁じられていたが、2015年に同法が改正され、JR九州はその適用対象から外れた。そのため、JR九州は経営安定基金を取崩すことが可能となり、「[1]九州新幹線貸付料の一括前払い、[2]鉄道資産取得のために(独)鉄道・運輸機構から借り入れた無利子借入金の償還財源への振替、[3]鉄道ネットワークの維持・向上に必要な鉄道資産への振替」に充てている。(国土交通省2015)
(3)税制上の優遇措置
三島会社は、税制上でも種々の特例を享受している。
具体的な措置として、まず、1986年に創設された「三島特例」と「承継特例」が挙げられる。前者は「三島会社が所有する鉄道事業固定資産に対して賦課される固定資産税等の課税基準を2分の1とする特例措置」であり、後者は「三島会社が国鉄から承継した鉄道事業固定資産、管理施設等の固定資産に対して賦課される固定資産税等の課税基準を2分の1(平成14年度以降は5分の3)とする特例措置」である(会計検査院2016)。その結果、国鉄から承継した資産について、三島特例と承継特例の両方が適用される連乗資産は、現行では課税基準が10分の3にまで圧縮される。これは、相当の優遇措置であると言える。
次に、2004年度には、「外形標準課税特例措置」が創設された。これにより、「三島会社の資本準備金に係る商法の特例を適用した金額(国鉄長期債務等を承継させなかったことにより形式的に計上した資本準備金)を事業税の資本割りの課税基準から控除する」ことが定められた(会計検査院2016)。なお、控除額については、平成29年度は4分の3、平成30年度は2分の1を資本金と資本準備金の合計額が控除される。控除の割合が減少傾向にあるのは、徐々に各社の自立が促されているのだと考えられる。
なお、2016年に株式上場するJR九州に対しても、激変緩和のため、承継特例は2017年度まで、三島特例と外形標準課税特例措置は2018年度まで適用することになっている(ただ現在は、三島特例は「二島特例」と既に呼ばれており、承継特例と共にJR北海道とJR四国には現行の措置が2021年度までの延長が決定された)。
(4)その他の支援措置
他にも、主に国土交通省の設計に基づいて、鉄道・運輸機構によって以下のような様々な財政支援が実施されている(図表4, 5)。
図表4. 「JR三島・貨物会社等に対する支援について」(鉄道・運輸機構ホームページより引用http://www.jrtt.go.jp/02business/Settlement/pdf/singi18-4.pdf)
図表5. 「JR三島・貨物会社の設備投資に対する支援(無利子貸付又は助成金交付)」(引用元は図表4と同一)
2. 三島各社の経営格差とその要因
(1)三島各社の経営状況
三島会社の現在の経営状況は、具体的にどのようになっているのだろうか。下の図表6は、平成27年度のJR三島会社の決算公告を基に作成したものである。比較のため、JR九州に関しては平成26年度の決算も掲載している。
|
JR北海道(H27年度) |
JR四国(H27年度) |
JR九州(H26年度) |
JR九州(H27年度) |
鉄道事業営業損益 |
-48,280(営業損失) |
-10,913(営業損失) |
-14,409(営業損失) |
-11,547(営業損失) |
関連事業営業損益 |
+3,580 |
+401 |
+15,901 |
+16,956 |
全事業営業損益 |
-44,700(営業損失) |
-10,511(営業損失) |
+1,851 |
+5,409 |
一般営業外損益 |
+2,058 |
+392 |
+1,933 |
+1,732 |
経営安定基金運用収益 |
+34,918 |
+7,228 |
+12,590 |
+11,143 |
鉄道・運輸機構特別債権受取利息収益 |
+5,500 |
+3,500 |
(なし) |
(なし) |
経常損益 |
-2,224(経常損失) |
+609 |
+16,375 |
+18,284 |
図表6. 三島会社の決算を比較
(JR北海道は平成28年度3月期決算公告、JR四国は第29期決算公告(平成27年4月〜平成28年3月)、JR九州は平成26・27年度決算公告で発表された値を基に、筆者が作成。)
※単位は百万円。分かりやすくするために、黒字は+、赤字は−かつ水色で示した。
第一に着目すべきことは、三社とも鉄道事業では赤字となっていることである。
特にJR北海道は、他二社と比較して大きな営業赤字が発生している。このため、JR北海道は、その他の部門で利益を上げていても、全事業営業損失、経常損失を共に計上してしまっている。
JR四国は、鉄道事業の営業損失はJR北海道ほどには大きくないものの、関連事業の営業収益が極めて小さいので、全事業でプラスの営業利益を出すことはできていない。その上、経営安定基金と実質的な補助金に等しい鉄道・運輸機構からの特別債権受取利息に依存した経営体制になっており、辛うじてプラスの経常利益となっているものの、経営基盤は非常に弱いと言える。
一方、JR九州は、JR北海道・JR四国とは対照的に、関連事業営業費で、鉄道事業の損失を補うほどの利益を上げており、三島会社で唯一、全事業営業損益がプラスとなっている。経常利益の規模も大きく、平成26年度から平成27年度にかけて、全事業営業利益と共に拡大している。鉄道事業営業損失が減少、関連事業営業利益が増加、経営安定基金運用収益は減少、と経営基盤が少しずつ強化されていると考えられる。
では、各社の経営状況は、どのような変遷を辿ってきたのであろうか。下の図表7は、「JRの会社間格差の拡大」(佐藤信之『鉄道ジャーナル 2016年5月号』)より引用した。国鉄が民営化された昭和62年度から平成26年度までの、JR各社の鉄道事業営業収益と経常利益(単体)の推移が表されている。
図表7. 「JR各社の鉄道事業営業収益」及び「JR各社の経常利益(単体)」の推移
(「JRの会社間格差の拡大」(佐藤信之、『鉄道ジャーナル 2016年5月号』)より引用)
本州三社(JR東日本、JR東海及びJR西日本)と三島会社は、経営規模が全く異なっている。三島会社の中でトップのJR九州の鉄道事業営業収益は、どちらも本州三社の中で最下位のJR西日本の半分にも及んでいない。また、JR北海道とJR四国に関しては、鉄道事業営業収益で、JR北海道はJR九州の約半分、JR四国はそのJR北海道の更に半分程度しかない。
図表7からは、鉄道事業営業収益については、JR各社とも、変動が比較的小さいことが見て取れる(JR九州の鉄道事業営業収益は、平成23年度以降大きく増加している。これは、平成23年3月に、博多―新八代間の九州新幹線が開業したことにより、山陽新幹線との相互直通運転が始まった影響が大きいと見られる)。こうした傾向から見ても、JR北海道とJR四国が、経営基盤を確立するための収益増加を鉄道事業に求めることには、ハードルが高いものと考えられる。
一方、経常利益は、鉄道事業営業収益に比べ、国鉄民営化からの約30年間で変化が見られる(JR九州などで平成21年度に大きく下がっているのは、平成20年に起きたリーマン・ショックを契機とした景気後退が原因だと考えられる)。JR四国とJR九州に注目すると、昭和62年の時点ではほぼ同じどころか、平成6年までは四国が九州より高い利益を出している。しかし、平成9年以降JR九州がJR四国と少しずつ上回るようになり、新八代―鹿児島中央間で九州新幹線が開業した平成16年度からは更に差が開いた。JR北海道に至っては、昭和62年当時から既に経常損失となっており、不祥事や事故の相次いだ平成23年度は約45億円もの経常損失となっている。
各社とも鉄道事業での収益がほぼ横ばいであることから、図表6でも確認したように、関連事業等から得られる収益の過多が経常利益の増減に影響していると推測できる。本州三社にも目を向けると、旧JR会社法の適用から外れた平成13年度以降、特にJR東日本とJR東海では経常利益が大幅に伸びている。
(2)各社の経営に影響をもたらす要因
では、三島会社の経営状況に、なぜここまでの格差があるのか。考えられる要因について、考察していこう。
|
A鉄道事業営業収益 |
B鉄道事業営業費 |
A収益/B費用(%) |
JR北海道 |
76,847 |
125,127 |
61.42 |
JR四国 |
26,982 |
37,895 |
71.20 |
JR九州 |
169,189 |
180,737 |
93.61 |
図表8. 三島会社の収益性を比較(金額の単位は百万円)
(JR北海道は平成28年度3月期決算公告、JR四国は第29期決算公告(平成27年4月〜平成28年3月)、JR九州は平成27年度決算公告で発表された値を基に、筆者が作成。%は有効数字4桁で計算。)
[1]三島の人口構造
三島における潜在的な鉄道需要を表す指標として、三島の人口構造の違いを指摘できる。
第一に着目すべきは、人口密度の相違であると考えられる。
鉄道経営の効率性という観点から、基本的には、人口密度が高いほど、経営に有利であると考えられる。現実にも、人口密度が高い本州の三社は鉄道事業で大幅な黒字を生み出しているが、鉄道事業が赤字の三島は、人口密度が低い。
こうした観点から三島を比較すると、三島の中では、図表8から分かるように、JR九州の収益性が最も高いが、これは、九州の人口密度の高さ(図表8−2)に関係していると考えられる。
|
2015/10/01現在の総人口(万人) |
2015/10/01現在の人口密度(総面積1km2あたり)(人) |
人口増減率(2015年度の2014年度比)(%) |
北海道 |
538 |
68.6 |
-0.34 |
四国 |
386 |
205 |
-0.85 |
九州 |
1302 |
308 |
-0.31 |
図表8−2. 三島の人口規模の比較
(総務省統計局のデータを基に、筆者が作成。四国と九州については、人口密度は総人口/総面積を、人口増減率は((2015年度総人口ー2014年度総人口)/2014年度総人口)を筆者が計算した。)
※有効数字3桁。九州は沖縄県を除く。
北海道は、総人口は四国の約1.4倍あるが、人口密度は四国の3分の1程度しかない。広大な面積に少ない人口、という集約性の低さは、鉄道には非常に不利な条件であり、図表8にみられるように、JR北海道の収益性は、他の2社と比較しても低くなっている。2011年、JR北海道は、全線区の半分以上が同社単独では維持困難だと発表した。北海道全域で鉄道事業を展開することの難しさが人口密度にも表れている。
四国も、人口密度は九州の約3分の2であり、厳しい条件下にある。四国はそもそも三島の中で最も人口が少ないが、北海道・九州と比較して、人口減少率が著しく高いことも経営のリスク要因である。その上、JR四国は、将来の発生が予想されている南海トラフ巨大地震において多くが津波の浸水域に入ると言われており、もし地震が実際に起きれば、人口の流出が一気に加速されることも想定される。この点で、JR四国は、将来に向けて大きなリスクを抱えていると言わざるを得ない。
図表9. 「南海トラフ地震の被害想定」
(朝日新聞DIGITALホームページ 「災害大国 南海トラフ地震の被害想定」(2015/9/28)http://www.asahi.com/special/nankai_trough/より引用)
第二に、域内における都市構造に着目する。
鉄道輸送は、都市内と都市間の二種類が分類できる。前者では都市の規模、後者ではその分布が特に重要であると言える。
後述するように、都市内の輸送は民鉄他社との競合が著しい領域であり、JR各社にとっては、都市間の輸送で収益を上げることが重要となってくる。
図表10は、各島の三大都市の人口を比較したものである。北海道は、札幌市(その人口は、道内総人口の三分の一以上である。)に人口が一極集中しているため、広大な面積を持つ割に、都市間交通の需要は見込みづらい構造となっていると考えられる。
また、四国は、北海道より人口が分散しているようには見えるが、北海道における札幌市のような大都市が存在しないため、都市内輸送で大きな需要を生み出すことが難しい構造となっている。JR四国の「稼ぎ頭」は、高松と岡山を結ぶ瀬戸大橋線であり、JR四国管内で平均通過人員が2万人/日を超えるのは、ほぼこの区間だけである(他の区間は、瀬戸大橋線が直通する宇多津―多度津間を除き、高松―徳島、高松―松山間なども含め、全て1万人/日未満である)。岡山市の人口は706,027人(2015年1月1日現在)であり、JR四国の収益は、高松市と、域外の岡山市との間の都市間交通によって支えられている状況である。
反対に、九州は、2015年1月1日現在、第四位の鹿児島市にも60万8240人が住んでいる。規模の大きな都市が島内に多く分布しており、他二島に比べ、都市間輸送に適していると考えられる。管内の平均通過人員数は、新幹線(博多―鹿児島中央)が17,311人/日、鹿児島本線(門司港―八代、川内―鹿児島)が33,905人/日、長崎本線(鳥栖―長崎)が14,531人/日など、都市間の輸送量が大きくなっている。
図表9. 三島それぞれで人口の多い都市上位3位の人口を比較
(総務省平成27年住民基本台帳人口のデータを基に作成。)
[2]三島の経済
次に、三島の経済に着目する。経済力の差は、交通需要だけでなく、関連事業の収益にも大きな影響をもたらす。
図表10に見られるように、三島で最も人口の少ない四国は、総生産も一番低く、こうした点で厳しい状況にある。
一方、九州は、総生産が四国の3倍以上あり、これが鉄道需要を喚起するとともに、関連事業の好調を支えていると考えられる。
北海道の総生産は、札幌という大都市を擁していることもあり、四国よりは高くなっている。しかしながら、総生産の伸び率は、九州・四国と比較してかなり低くなっており、むしろ将来の先行きに不安を生じさせるものとなっている。
|
1987年度 総生産(名目) (単位:100万円) |
2015年度 総生産(名目) (単位:100万円) |
2015年度の1987年度比 |
全国 |
362,389,833 |
508,645,648 |
1.40倍増 |
北海道 |
14,338,795 |
18,268,793 |
1.27倍増 |
四国 |
9,541,604 |
13,623,434 |
1.43倍増 |
九州 |
30,571,406 |
43,905,124 |
1.44倍増 |
図表10. 三島の経済成長を比較
(比率は、1987年度と2015年度の県内総生産(名目)から計算し、有効数字3桁で記載。ただし、「九州」は沖縄県を除く。県内総生産(名目)の値は内閣府発表の以下のURLにある統計データを用い、図表自体は筆者が作成。http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_h25.html
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kenmin/files/contents/main_68sna_s50.html)
三島の経済状況を比較するための一つの指標として、域外から訪れる人について分析してみよう。経済力が強い地域は、それだけ、他地域から人を吸引する力を持っていると想定できるからである。
こうした観点から、三島を主目的地とする国内旅行者数(2014年内)を比較した(図表11)。九州には北海道の約2倍、四国の約3.5倍以上もの人が訪れている。これは、[1]の図表8で確認した三島の総人口の比率と似ている。
(単位は全て千人) |
日帰り旅行 |
宿泊旅行 |
国内旅行(日帰りと宿泊の合計) |
北海道 |
10,688 |
18,131 |
28,819 |
四国 |
7,431 |
8,692 |
16,123 |
九州 |
25,420 |
31,294 |
56,714 |
図表11. 三島を主目的地とする旅行者数の比較(2014年内)
(単位は全て千人。ただし、「九州」は沖縄県を除く。値は全て「旅行・観光産業の経済効果に関する調査研究 2014年旅行・観光消費動向調査 4. 統計表 第4表」(国土交通省観光庁、2016年3月)http://www.mlit.go.jp/common/001136064.pdfを引用し、図表自体は筆者が作成。)
九州への旅行者が多いのは、その強い経済力を背景にビジネス目的で訪れる人が多いのだろうか。そこで、図表11と同じ引用元を基に、図表12〜14で、図表11の日帰り旅行者と宿泊旅行者は、それぞれどのような目的があるのかを、「観光・レクリエーション」「帰省・知人訪問等」「出張・業務」の3種類に更に分類した。すると、「出張・業務」目的の旅行者の割合は、三島ともほとんど同じであり、九州へのビジネス客の割合が特に多いわけではなかった。
図表12. 北海道を主目的地とする旅行者の目的別分類(2014年内)
(図表11と同じ引用元の値を基に、グラフは筆者が作成。)
図表13. 四国を主目的地とする旅行者の目的別分類(2014年内)
(図表11と同じ引用元の値を基に、グラフは筆者が作成。)
図表14. 九州を主目的地とする旅行者の目的別分類(2014年内)
(「九州」は沖縄県を除く。図表11と同じ引用元の値を基に、グラフは筆者が作成。)
三島とも、全体的な割合は大きくは変わらないが、北海道の特徴は、「観光・レクリエーション」目的の宿泊客の割合が大きいことである。それにもかかわらず、JR北海道は鉄道事業で大きな赤字を出しており、観光需要が鉄道需要に繋がっていないことが窺われる。
四国は、日帰り・宿泊の共に「帰省・知人訪問等」の割合が大きく、北海道・九州より「観光・レクリエーション」で訪れる人が少ない。観光庁発表(H28.4.11更新)の「共通基準による観光入込客数 全国観光入込客統計のとりまとめ状況 【年間値:平成25年】」によると、観光地点は、北海道に783、四国に698、福岡県を除く九州に1547あるとされる。四国は、他二島に比べ、観光地が少ないことが影響していると考えられる。
首都圏への経済・機能の一極集中が加速される中、「出張・業務」目的の割合を今以上に増やすには限界がある。三島ともその割合がほぼ変わらないことは、それを裏付けているだろう。三島への旅行者増加のためには、それ以外の2種類の旅行客を増やす必要がある。人口減少傾向にある三島で「帰省・知人訪問等」よりも、観光客を増やす方が現実的である。クルーズトレイン「ななつ星in九州」を始めとする観光列車を多く走らせ、観光客の呼び込みを狙うJR九州の試みは、こうした観点からのものと考えられる。JR四国も、観光列車「四国まんなか千年ものがたり」の走行を開始するなど、各社は観光事業による経営展開を図ろうとしている。
[3]三島の鉄道との競合機関
[1][2]では、交通機関全般に影響を与える要因について分析した。最後にBでは、交通機関別に注目し、その中で鉄道にどの程度のシェアがあるのかを探る。
実は、鉄道の旅客輸送人員は、三島会社発足時からあまり変わっていない。以下の図表15は、国鉄民営化から平成27年に至るまでの5年ごとの鉄道旅客輸送人員数の変化を表したものである。九州、北海道、四国の順に上から並んでいる。
図表15. 国鉄民営化から平成27年までの鉄道旅客輸送人員の変化(5年ごと)
(「国土交通省 鉄道輸送統計調査 年報」http://www.mlit.go.jp/k-toukei/cgi-bin/search.cgi?houkoku=10yyyy00a000nn&file_ext=pdf&file_ext=excelhtml&nengetu_nengou1=%95%BD%90%AC&nengetu_nen1=&nengetu_getu1=&nengetu_flag=only&nengetu_nengou2=%95%BD%90%AC&nengetu_nen2=&nengetu_getu2=&page=3&p_ret=1に発表されている値を基に、グラフは筆者が作成。)
図表15に見られるように、JR九州は近年増加傾向にあるが、四国は約30年間でむしろ減少している。ただ、それでも大きな変化は見られないことから、図表7で見たように各社とも鉄道事業の営業収益がこの約30年間でほぼ横ばいであるのは、国鉄改革を経ても鉄道の利用客が大きくは増加しなかったからだとも言えるだろう。
これに対して、鉄道の競合機関である自動車は、モータリゼーションの影響で利用者が増えていると推測できる。そこで、図表16と図表17では、それぞれ乗用車と乗合車(乗合車とは、いわゆる「バス」のこと。)の保有台数について、1987年から2017年にかけての増加率を、全国と比較した。
乗用車保有台数 |
1987年3月末 |
2017年1月末 |
2017年の1987年度比 |
北海道 |
1,484,065 |
2,804,485 |
1.89倍 |
四国 |
939380 |
2,185,446 |
2.33倍 |
九州 |
2998537 |
7,139,102 |
2.38倍 |
全国 |
28538497 |
61,471,639 |
2.15倍 |
図表16. 三島の乗用車保有台数を1987年当時と2017年現在で比較
(台数は、軽自動車を含む。ただし、「九州」は沖縄県を除く。一般財団法人自動車検査登録情報協会が公表する統計情報の自動車保有台数http://www.airia.or.jp/publish/statistics/number.htmlの値を基に、図表は筆者が作成。比率は有効数字3桁とした。)
全国的傾向として、乗用車の保有台数は増加している。四国と九州は、全国より保有台数の増加率がやや大きい。しかし、北海道は、乗用車保有台数は、全国ほどには増えていない。一般財団法人自動車検査登録情報協会の報道(2016年8月15日)によると、2016年3月末現在、三島に属する道県の中で、北海道は、自家用車1世帯当たりの自家用乗用車数が最も少ない(北海道は1.006台と、福岡県の1.081台よりも少ない)。
さらに、同法人によると、世帯数・人口ともに全国上位3位の東京都、大阪府、神奈川県は、自家用車1世帯当たりの自家用乗用車数が全国下位3位に位置している。一般に、人口密度の高い都市部では、自家用車の保有率は低いとされている。北海道は、[1]でも確認したように札幌市への集住度が高く、自家用車の1世帯当たり保有台数が少ないのは、同じ構図であると考えられる。
乗合車保有台数 |
1987年3月末 |
2017年1月末 |
2017年の1987年度比 |
北海道 |
13,900 |
14,166 |
1.02倍 |
四国 |
7630 |
6,976 |
0.914倍 |
九州 |
27511 |
29,662 |
1.08倍 |
全国 |
232,011 |
232,369 |
1.00倍 |
図表17. 三島の乗合車保有台数を1987年当時と2017年現在で比較
(台数は、軽自動車を含む。ただし、「九州」は沖縄県を除く。図表16と同じ引用元の値を基に、図表は筆者が作成。比率は有効数字3桁とした。)
乗合車の保有台数は、乗用車と違い、全国的にほぼ変わっておらず、その傾向は三島も同じだった。このことから、自家用車の普及が進んでいるが、公共交通機関としてのバスの利用はあまり増えていないと言えるだろう。
そこで、北海道と四国について、輸送機関別の役割分担の推移を調べた。
図表18は、北海道総合政策部交通政策局が発表した1975年から2005年にかけての「道内(相互間)輸送人員の推移」である。やはりバスの利用が減る一方、自家用車の利用が1985年以降大幅に増えており、かつ、その時期は国鉄改革と重なってしまっている。
図表18. 「道内(相互間)輸送人員の推移(主要輸送機関)」
(北海道総合政策部交通政策局「北海道の交通の現状」http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/grp/discuss1_16.pdfより引用。)
図表19は、同局公表の1966年から2012年にかけての「道内―道外間機関別輸送人員の推移」である。航空の需要は大幅に増加しているが、JRの利用は年々減少している。しかし、それは近年になって始まったわけではなく、国鉄改革時から既にあった傾向である。ただ、航空輸送の増加率は、国鉄改革時から傾きが急になっている。
図表19. 「道内―道外間機関別輸送人員の推移」
(北海道総合政策部交通政策局「2014 北海道の交通の状況」http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/vision_2014data.pdfより引用。)
次に、四国について見ていこう。図表20は、国土交通省四国運輸局が発表した1966年から2009年にかけての「四国の旅客流動の交通機関別割合」の推移である。四国でも、自家用車の割合が増えている。
図表20. 「四国の旅客流動の交通機関別割合」
(国土交通省四国運輸局「四国における10年間の交通の動向について」(平成27年3月)https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/bunya/koukyou/kentoukai/06.pdfより引用。)
図表21は、同局発表の1975年から2013年にかけての「四国―四国外旅客輸送人員(推計値)の推移」である。四国は、国鉄改革時から航空輸送の割合はあまり変化していない。1988年のJR瀬戸大橋線(備讃線)の開通で鉄道の輸送人員量は急増したが、それ以降は増えていない。本州四国連絡橋の相次ぐ完成によって、四国外からの全体的な輸送人員は増えたが、鉄道の輸送人員はほとんど変化していない。つまり、増加分は自動車輸送に吸収されてしまい、鉄道はシェアをむしろ減らしている。
図表21. 「四国―四国外旅客輸送人員(推計値)の推移」
(引用元は図表20と同一。)
最後に、現在の三島における交通機関別の輸送分担の割合を、図表22〜24で、道県内及び道県外からの輸送人員を合わせた値を用いて確認する。
図表22. 北海道の輸送人員の交通機関別割合の内訳(平成26年度)
(国土交通省「貨物・旅客地域流動調査 旅客地域流動調査 平成26年分 府県相互間輸送人員表」http://www.mlit.go.jp/k-toukei/search/excelhtml/17/17201400x00200.htmlに発表されている値を基に、グラフは筆者が作成。「自動車計」とは、乗合バスと貸切バス、営業用乗用車の合計を指す。)
北海道は、民鉄の方がJRよりも輸送人員が多い。札幌市交通局の地下鉄・函館市企業局交通部の路面電車というように、北海道の大都市の域内で民鉄が多く利用されているためである。一方で、北海道においては、鉄道が利用されるのは主に都市内交通で、都市間交通は自動車輸送が中心である。
図表23. 四国の輸送人員の交通機関別割合の内訳(平成26年度)
(図表22と同じ引用元の値を基に、グラフは筆者が作成。「自動車計」とは、乗合バスと貸切バス、営業用乗用車の合計を指す。)
四国の特色は、本州からの船舶輸送が盛んであり、旅客船の割合が他二島に比べ、大きいことである。また、都市内の輸送については、やはりJRと民鉄が拮抗している。高松琴平電気鉄道や伊予鉄道と言った民鉄が、松山市と高松市という同島の大都市を押さえている。
図表24. 四国の輸送人員の交通機関別割合の内訳(平成26年度)
(図表22と同じ引用元の値を基に、グラフは筆者が作成。「自動車計」とは、乗合バスと貸切バス、営業用乗用車の合計を指す。ただし、「九州」は沖縄県を除く。)
九州は、他二島と比べれば、自動車の割合はやや小さく、鉄道の割合が大きい。九州には、三島で唯一の大手私鉄である西日本鉄道(通称「西鉄」)や、福岡市交通局の地下鉄、長崎・熊本・鹿児島に走る路面電車などJRの強敵となる私鉄が多く存在する。大都市の多い九州の特色を反映していると言える。
3. 三島会社の評価と展望
(1)JR九州の一人勝ち?
JR九州は、2016年10月に、東京証券取引所第一部と福岡証券取引所に上場し、完全民営化を達成した。
第2章で様々な角度から見てきたように、九州は、人口構造や経済規模などの点から言って、三島の中で構造的に有利な条件を数多く備えている。厳しい経営状況の続く他二島に対し、JR九州は優位に立つ基盤を与えられていると言えるであろう。
もちろん、JR九州の経営努力も見過ごすことはできない。JR九州は、主に二つの戦略を取ってきたと言える。一つは、独自の観光戦略による新規需要の発掘及びJR九州の鉄道ブランド創成・イメージアップ、もう一つは、幅広い関連事業の創出・拡大による多角経営の展開である。
JR九州は、地元の観光資源と結び付け、水戸岡鋭治による個性的なデザインの観光列車を多く走らせ、その上質なサービスによって、高い人気を集めている。その意図として、鉄道ジャーナリストの中嶋茂夫氏は、「閑散路線にあえて観光列車を走らせ」ることで「『地元の足』を残すべく、観光客を呼び込むため」だと分析する(『洋泉社MOOK 徹底解析!! JR九州』2016)。また、同氏は、観光列車事業単体は赤字だとしても、JR九州の知名度や魅力を上げることで、グループ全体での利益を目指しているとも指摘する(同書)。
図表25は、豪華観光列車「クルーズトレイン ななつ星in九州」である。2013年に登場し、1泊30万円以上という高価格帯にもかかわらず、2017年3月〜9月分の国内平均予約倍率でも30.6倍を誇る。JR九州と言えば、ユニークな観光列車。そんなブランドイメージを決定的にしたのが、この列車である。
図表25. 豪華観光列車「ななつ星 in 九州」
(JR九州ホームページのトップ画面http://www.jrkyushu.co.jp/company/index.htmlより引用。)
だが、実際は、JR九州の営業収益に占める運輸サービスの割合は、40%にも満たない(2016年3月期)。図表26からも分かるように、JR九州の営業収益の半分以上は、鉄道以外の関連事業が占めている。
図表26. JR九州の2016年3月期営業収益
(JR九州「財務・業務情報 セグメント別業績(連結)」https://www.jrkyushu.co.jp/company/ir/finance/results/の値を引用し、図表は筆者が作成。)
営業利益に至っては、2章冒頭の図表6でも触れたが、関連事業への傾斜が、さらに顕著な形で現れている。図表27のように、「駅ビル・不動産」の黒字額は、運輸サービスの赤字額の約2倍にも上る。
図表27. JR九州の2016年3月期営業利益(単位:億円)
(図表26と同じ引用元の値を利用し、図表は筆者が作成。)
JR博多シティ、JRおおいたシティ、アミュプラザ小倉・長崎・鹿児島など、JR九州の主要駅には、大型の駅ビルが近年次々と展開されている。2011年に開業したJR博多シティは、延床面積約24万m2、売上高約1035億円(平成28年3月期)、店舗数約400店舗を誇る。中嶋氏は、比較として「東京駅にある大丸より300億円も高い売り上げをたたき出している」と述べる(前掲書)。
JR九州は、駅ビル・不動産事業だけではなく、様々な事業に進出し、多角経営を推進している。観光業、マンション販売、ホテル、ゴルフ場、有料老人ホーム、ドラッグストア、高級飲食チェーン店(「うまや」など)、パン屋、農業など、その進出業界は、鉄道会社の範囲を大きく超え、非常に多岐にわたっている。
本州三社、特にJR東日本とJR東海は、2章の図表7のように、上場以降、経常利益を大幅に押し上げてきた。果たしてJR九州も、同様に、右肩上がりの成長を続けるのだろうか。
このように、JR九州は、三島で「一人勝ち」しているように見える。だが、以下に述べるように、本州三社とは、基本的な前提条件を異にしていることが見過ごされてはならない。
その第一は、鉄道事業が赤字という点である。2016年現在、JR九州の不採算路線は19にも上る。本州三社は、「本業」である鉄道事業が黒字の状態で上場している。ところが、JR九州は、関連事業の利益で鉄道事業の赤字を何とか補填し、企業全体で見た時にようやく黒字になっている。経営安定基金設立の経緯からしても織り込み済みとも言えるが、JR九州を含む三島会社は、鉄道事業での赤字が設立当初から見込まれていた。その名を冠していても一旅客鉄道会社というよりは、一つの総合事業者として上場したと言う方が適切かもしれない。
第2は、税制上の措置である。第1章でも触れたが、JR九州は固定資産税や都市計画税等の地方税の減免措置を受けながらの上場となっており、本州三社とは異なっている。この優遇措置は2018年度を限りに完全に打ち切られることが決まっており、既に赤字の鉄道事業に、追い打ちをかけることになる。国土交通省は、「平成28年度地方税改正(税負担軽減措置等)要望事項」において、減免措置の継続を求めたが、関係省庁や地方自治体の理解は得られなかった。
また、JR九州は、経営安定基金を上場する際に自社のために全額を取り崩している。これに関しては賛否両論の分かれるところであり、国からの借入、いわば税金が元手となっている経営安定基金は、国庫に返金すべきだったという意見も根強く残っている。
だが、JR九州にとってより本質的な問題となり得るのは、九州経済全体に関わるリスクである。既に見たように、九州全体の人口は減少傾向に歯止めがかかっておらず、少子高齢化の進展や東京一極集中の加速など、九州経済の先行きは必ずしも明るくはない。国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口』(平成25年3月推計)によれば、2010年を100とした九州の人口は、2040年には約81.38になると見込まれている。
総人口及び就業人口の減少は、輸送密度、すなわち鉄道事業収益の減少に直結し得る。上述したように、JR九州は、関連事業で大幅な利益を生み出している一方、赤字の鉄道事業は「荷物」となっている状態である。完全民営化すれば、国土交通省の勧告・命令も行われるとはされているが、会社全体での採算性がより重視され、鉄道事業の「切り捨て」が行われるのではないかとの懸念の声も上がっている。実際、ワンマン運転や駅の無人化など人員の削減が既に進められており、合理化の名の下に事業の徹底的な切りつめが行われようとしている。今後の不採算路線からの撤退も十分考えられるだろう。
関連事業に関しても、事態は同様である。その収益性は、九州の経済力に依拠したものである。人口減少に伴って九州の経済規模は、放置すれば縮小の方向に向かっていくだろう。そうなれば、駅ビル、不動産、マンション、ホテル、流通・外食等、関連事業の経営への大きなリスクとなる。現在も既に、駅ビルやマンションに関して、主要都市の開発は頭打ちの状態になっているとの見方もある。関連事業の収益に支えられているJR九州は、関連事業の成り行きに鉄道事業が左右されてしまうというリスクも同時に抱えている。JR北海道の例を取れば、同社の経営悪化の要因の一つとして、1997年4月からの消費税率引き上げに伴う消費不況及び、資金融資を行っていた北海道拓殖銀行の破綻などの影響で、リゾート業が斜陽化したことが指摘されている。JR九州においても、関連事業で大赤字が出れば、鉄道にしわ寄せがかかりかねない。鉄道事業の過剰な経費削減によって、鉄道の走行に不可欠である安全対策が後回しにされる懸念も完全に否定し切ることはできないだろう。
(2)完全民営化の目標は妥当か
JR北海道は2016年11月、全線区の約半分が、同社単独では維持困難だと発表した。沿線自治体からはもちろんのこと、無責任だとの批判が殺到した。これを会社の「努力」の欠如の問題として批判することは容易であるが、しかし、それは、JR三島会社の抱える根本的な問題を見えなくさせる可能性がある。
なぜ、JR三島会社の経営は、これほどまでに厳しくなっているのだろうか。
三島会社の赤字経営は、会社が設立された時から見込まれていた。モータリゼーションの進展、首都圏一極集中の加速による人口の都市部への流出、少子高齢化による人口減少など、鉄道事業の環境を厳しいものにする情勢変化は、地方部において当時から既に見られていたが、近年その傾向は更に強くなっている。
鉄道とは本来、「1日数万人、混雑時1時間あたり数千人以上を運ぶための手段」(福井義高2012)、つまり、大量輸送のための交通機関である。人々が集住する大都市圏、あるいは大都市間の輸送という場面においては、鉄道は重要な役割を果たし得る。しかし、地方都市の人口減少など、これまで述べてきたような状況の下で、果たして鉄道は最適の輸送モードであるのか。地方部においてマストランスポートの時代は終わりつつあり、鉄道は時代遅れになろうとしているのではないか。我々は、そのことを立ち止まってもう一度問い直してみなければならない。
また、交通政策相互の整合性も問われなければならない。
政府は、高規格道路を次々と開業させている。その中には、例えばJR留萌線と深川留萌自動車(2019年度全線開通予定)など、従来の鉄道線と並行して走らせようとするものもある。第2章で見たように自家用車普及率が増加しているのは、モータリゼーションはもとより、鉄道に代わる交通機関である自動車の利便性が高まっていることも背景にあると言える。
道路は、基本的に国や自治体の負担によって建設・保守が行われる。第1章で見たような諸制度があるとは言え、JR三島会社は全てそれを自前で行っている。鉄道と道路は、コストの構造が全く異なっており、単純な競争では、鉄道は明らかに不利に置かれている。
しかしながら、鉄道輸送には、自動車と比較して事故が少ないこと、環境負荷が相対的に小さいこと、定時性が確保しやすいことなど、固有のメリットがある。そうした政策的観点から、鉄道事業を純粋の民間事業として市場原理に委ねるのではなく、英仏独等で採用されているインフラを公的主体で用意する方式(いわゆる上下分離)などにより、道路交通との競争条件を調整することも、検討に値するであろう。
国土交通省は、国鉄の経営悪化の原因として、「1960年頃から自動車や航空との競争が激化し鉄道の優位性が失われたにもかかわらず、この変化に対応した経営の効率化等が行われ」ず、「1981年以降、赤字解消のために運賃の値上げを繰り返し、それが、さらなる国鉄離れを加速した」としている。国鉄改革は、「国鉄を市場競争に耐え得る事業体に変革し、鉄道事業の再生を図る」ことが目的とされ、JR新会社を「できる限り早期に純民間会社に移行する」のが理想だった(同省)。そこで取られた手段が、「規制緩和と経営責任の明確化」であり、「新鉄道会社については経営の自由、自主性を確保するため」、「関連事業の拡大・国鉄時代に制限されていた、ホテル、物販、飲食、旅行業等の関連事業への進出」を全て認め、「これら関連事業を鉄道事業と並ぶ重要な柱と位置づけ」させることだった(同省)。
鉄道事業の赤字部分は、民間化した旅客会社に責任を負わせ、各社の関連事業進出等による「経営努力」によって、鉄道以外の分野で解決させようとする。そして、その終着点が「完全民営化」とされたのである。本州三社とJR九州については、その方策が一応の「成功」を見た。
ただ、関連事業の利潤を鉄道事業への投資に回すという本州三社とJR九州の「自社努力」については、より広い視点から評価する必要がある。高い収益性を持ついわゆる「駅ナカ」の大型商業施設は、地域の地元商店街やスーパーの売り上げを奪っている可能性がある。「駅ナカ」ビルの売り上げがいくら上がったところで、駅の外の商店街が寂れてしまえば、街全体の経済力が落ちる。そういった形で、それぞれの地域(住民や地元自治体)は、鉄道の運賃という直接的に目に見える部分とは別のところで、少なくないコストを払わされている可能性がある。
しかし、北海道と四国には、関連事業が発展するための人口や経済基盤に一層乏しい。この二島に本州三社と同じ経営路線を要求することは、当初から無理があったのではないか。鉄道会社は儲からないといけない、利潤を追求するものだ、それでいて、地域の公共交通を担わなければならない。その(日本特有とも言われる)前提自体、ハードルが高すぎたのではないか。経営安定基金の運用益があって、その上関連事業にいくら進出したとしても、「モータリゼーションと人口減少」という鉄道に対する厳しい社会状況を変えることは難しい。負担が重くなる一方の鉄道の経営の責任を、国から民間に「移管する」。それが国鉄改革後の実情であったようにも見える。
もちろん、政府は、JR北海道とJR四国に対し、多額の財政支援を行っている。それは、「生活の足」として路線の存続を求める地元住民や自治体の強い要望に応えたものである。しかしながら、それは逆に、「完全民営化」、すなわち企業として独立の経営を維持するということが、両社にとっていかに実現困難な目標であるかを示している。
」
JR九州の「ななつ星 in 九州」のような豪華観光列車は、鉄道の新たな活路を切り拓いたとも言えるかもしれない。しかし、観光列車の価格は高く、一般の人が日常的に使うためのものではない。今後飽きられることがなく、いつまで需要があるかについても不透明である。やはり、鉄道を下支えするのは、沿線地元民の日常的な利用である。
現在の会社の経営を苦しめ、かつ、将来の存廃が危ぶまれている、三島会社のローカル線を、それでも残そうとするのはなぜか。地方高校生の通学の足として、また、自動車を運転できない高齢者の足として、地方部における少子高齢化社会には必要不可欠だからー、このような論旨を持った意見は多い。しかし、一日に数えるほどの本数しかなく、経路も固定されており家や目的地と駅が必ずしも近いとも限らず、その上、保守費用など線路や列車維持に毎年多大なコストがかかる鉄道が、地域の公共交通機関として本当にふさわしいのか。鉄道以外の多様な選択肢が、検討されなければならないのではないか。
その一つの例として、予約制の乗合タクシーサービスとして、オンデマンド交通が現在注目を集めている。東京大学オンデマンド交通プロジェクトによれば、「低コストのサーバ運営」、「ドア・トゥ・ドア」、時間の正確性などが特長で、低い運行コストでありながら、利用者の利便性を確保できるという。こういった新しい公共交通システムの模索こそが、今必要とされているのではないか。
地域の「足」をどう確保するかは、輸送モードを横断する、総合的な交通政策として考えられるべきものである。しかしながら、鉄道経営と道路建設に関する意思決定は、縦割り行政の中でそれぞれ基本的に独立して行われており、総合的な観点から取り組まれているとは言えない状況である。
さらに、より問題であるのは、地元自治体の交通政策も、場当たり的であるように見えることである。一方で道路建設を強く望み、他方で鉄道の存続に公的資金の投入を求めることは、政策としての効果も疑問であるだけでなく、納税者の理解を得ることも難しいであろう。
2017年4月4日付の朝日新聞朝刊のインタビュー記事「「鉄路半減」の挑戦」において、JR北海道社長島田修は、国のさらなる支援は必要か、と問われ、次のように答えている。
「税金で赤字を穴埋めして、路線を全部維持すればいいという意見は、よくいただきます。でも、利用者が大幅に減った地方鉄道を赤字補填で維持するしくみ、バケツに穴が開いたところにどんどん税金を投入することで、いいのかどうか。結果的に、福祉や年金、保育園などに使う予算を切って回すべきかどうかは、国民がきちんと議論をする問題だと思います」
(3)おわりに
三島会社の経営について、将来展望も交え論じてきた。
そこで明らかになったことは、三島会社を取り巻く環境の厳しさであり、「一人勝ち」と見えたJR九州についても、少子高齢化に伴う人口減少、都市部への一極集中、経済規模の縮小など、将来に対して少なからぬリスクを抱えているということであった。
こうしたリスクは、はたして三島会社だけのものであるのか。我が国の社会経済状況を冷静に眺めれば、それらは、本州三社にとっても、看過できないリスク要因として立ち現れてくるのではないか。
「民営化」には、現在、一定の評価が与えられる場合が多い。しかし、それが、将来にわたっても、「最適解」である保証は、実はどこにもない。むしろ、三島会社は、本州三社含めたJR各社の直面すべき課題を先取りしているに過ぎないとさえ言い得るかもしれない。
JR九州の上場は、まさに一つの重要なエポックであった。しかし、我々はこれを、「民営化をいかに徹底するか」にとらわれず、民営化のその「先」にまで視野を広げ、変化していく社会の中で、鉄道のあるべき姿を展望するための、まさに重要な機会とすべきではないだろうか。
4. 参考文献
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(研究紀要 26, 29-40, 2003-01-31)
『鉄道ジャーナル 昭和62年6月号』(鉄道ジャーナル社・成美堂出版・1987年)
『鉄道ジャーナル 2016年5月号』(鉄道ジャーナル社・成美堂出版・2016年)
『鉄道ジャーナル 2016年12月号』(鉄道ジャーナル社・成美堂出版・2016年)
『鉄道ジャーナル 2017年5月号』(鉄道ジャーナル社・成美堂出版・2017年)
『洋泉社MOOK 徹底解析!! JR九州』(洋泉社・2016年10月26日発行)
AERA第30巻17号通巻1616号「国鉄とJR」
(朝日新聞出版・2017年4月10日発行)
朝日新聞「JR 30年の変容」(2017年4月2日付朝刊)
朝日新聞「「鉄路半減」の挑戦」(2017年4月4日付朝刊)
国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口』(平成25年3月推計)
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(2017年3月19日閲覧)
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http://www.mlit.go.jp/common/001127157.pdf(2017年3月19日 閲覧)
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(2017年3月21日閲覧)
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